動きだした近代日本

江戸東京ライブラリー 21
動きだした近代日本
外国人の開化見聞
- 鳥海靖著
- 四六判 196頁
- 2002年12月 発行
- ISBN 978-4-316-35900-7
- 価格 (税込) 1,650円(本体 1,500円+税)
- 読者対象:一般
商品内容
明治になって新しい政治や社会体制を築くために、明治政府はたくさんの外国人を招請し(お雇い外国人)、ある者は教育者として、ある者は宣教師として、各々の目的のもと多数の外国人が、さまざまな国から日本を訪れました。また、ある者は旅行探検家として個人の関心からやって来ました。
明治前期に来日したこれら外国人たちが、江戸から東京へ、大変革の過程にある日本をどう観察したかの記録が、数多く残されています。これら外国人たちの日本の世情と日本人への観察は、なかなか当事者が気づかない視点も含まれており、日本の急速な開化を鋭く分析したものとして、見過ごしがたいものがあります。多くは、当時の社会に見られた日本人の美質、たとえば正直、親切、優しさ、などが自国のナショナリティと対比して称揚されているかと思うと、覗き見根性、繁栄の陰の貧しさや不潔、など辛らつな指摘も見られます。道路や鉄道など社会資本の急速な整備のかげで、山村の極端な貧困が描かれます。さらに、明治政府が意図した立憲政体へのとくにドイツを中心としたヨーロッパの批判・忠告や、国内の自由民権運動にもかかわらず、政府が立憲による代議制を敢行したいきさつも語られます。こうして、文明開化のただ中にある東京や日本の情景――街の風景、世相、風俗、生活習慣や国民性への観察が具体的に描かれていきます。ここに描かれたような社会性や政治的動向がないまぜになって近代社会が形成されていきますが、近代が名実ともに始まってくるにあたって、どのような歴史的伝統的文化的条件(国民性など)をふまえ、どのような手持ちの材料と自前の手法によって、異文化・外来文化を摂取・吸収していったのか、外国人の記録を具体的に検討することで、近代というものをもう一度見なおすよすがとしたいものです。
目次
Ⅰ 日本へ、そして東京へ
船旅の風景/日本入国/乗合馬車で東京へ/外国人居留地 築地――大江戸から東京へ
Ⅱ 感嘆と違和の風景――世態と心を観察する
日本人が発明した人力車/聖俗混在の盛り場 浅草観音/江戸の華・火事と美徳/花見で見たもの/舟と水の幻想美――川開きと花火/かくれた 「名所」 火葬場/風呂好きと混浴
Ⅲ 教育大変革の序奏――刀と下駄と着物
ピストルと日本刀/高等教育の風景――大学南校/学生たちの勤勉と教師たちの熱情/村の小学校
Ⅳ 日本の国内めぐり――開化の先端と底辺と
鉄道以前―福井往還冬の旅/鉄道開通/日本奥地への旅/貧しい山村と繁栄する町や村
Ⅴ 目のあたりにみた政治的変革――過渡期への視点
グリフィス廃藩置県体験/「死の跳躍」か?――性急過ぎる日本の改革/立憲政治をめざして/日本人は議会制度を運営できるか?
むすびにかえて
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