武士道 その名誉の掟

江戸東京ライブラリー 18
武士道 その名誉の掟
- 笠谷 和比古著
- 四六判 208頁
- 2001年8月 発行
- ISBN 978-4-316-35870-3
- 価格 (税込) 1,650円(本体 1,500円+税)
- 読者対象:一般
商品内容
「武士道」というと、一般には『葉隠』の「武士道といふは死ぬことと見つけたり」を思い浮かべる人が多い。「葉隠精神」と俗称されて死の美学と結びつけて考える向きもかつてはあった。だが、著者によれば、武士道の思想とその行動形態は、中世武士のエートス――「弓矢取る身の習い」と、近世の儒学――ことに朱子学の倫理観との合流点において形成されていることを忘れてはならない。武士の誕生から説き起こし、中世の「もののふの道」を通過して徳川時代の武士や思想家たちが武士道というものをどう考えていたかを掘り下げて、武士道の基本カテゴリーをまず明らかにする。そして武士道というものを外側から支えた徳川時代の幕府と藩の組織や身分秩序、その中での武士のありようを踏まえて、武士道に二つの世界があったことを提唱する。一つは、主君‐家臣という主従関係の中で展開されるタテの関係としての武士道であり、もう一つは自己完成・自己鍛錬を前提とし、家臣たち傍輩どうしの中で展開される、喧嘩・切腹・駆込・仇討などのヨコの関係としての武士道である。前者は「忠義」の観念、後者は個々の武士の間での「名誉」の観念が、それぞれキー・コンセプトとなる。こうした二つの局面における武士たちの行動の考察から、それらの多くが戦場のアナロジーによって構成されていることがわかる。つまり武士道の本質は戦士の行動規範ということであり、名誉の掟に裏打ちされた自立した個として、武士が、自らを自力で救済するというのが武士道の論理なのである。「忠義」の発現である諫言や服従・退去・押込も、その奥に個人の「名誉」という観念を秘めている。戦闘者として意志的に生きるという覚悟、自己認識は、組織の中で生きる個人の存在形態について、現代にも少なからぬ示唆を与えてくれるはずである。
●書評が出ました●2001年9月9日朝日新聞(評者:野口武彦)
目次
一、武士道の歴史/二、徳川時代の武家社会/三、名誉の掟としての武士道/四、忠義観念の諸相―そのコペルニクス的展開―/五、終章―自立せる戦闘者たちの名誉の掟―
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