お七火事の謎を解く

江戸東京ライブラリー 17
お七火事の謎を解く
- 黒木喬著
- 四六判 208頁
- 2001年8月 発行
- ISBN 978-4-316-35860-4
- 価格 (税込) 1,650円(本体 1,500円+税)
- 読者対象:一般
商品内容
徳川時代も中期にさしかかろうとする元禄の少し前、天和に起きた大火は江戸十大火事の一つに数えられ、早くから八百屋お七の放火とする風説があって、そのため「お七火事」と呼び慣わされてきた。しかし、これには疑問が渦巻く。火事のあった時日とお七について書かれた記事との矛盾をはじめ、調べれば調べるほど焦点がぼけていく。親(父)の名や出自、家族構成、男と知り合った避難先の寺はどこか、恋人は誰か、どこに放火したのか、いつ何歳で処刑されたか、……そのいずれもが、大火事の放火犯とされ人の口の端にのぼった割には確証がない。三百年以上も時を隔てて、この火事の真相を調べる手だては無きにひとしいが、当時の政治・社会状況や数少ない史料をもとに、「お七火事」とはどういうものであったか、お七は本当は火事とどう関わったかなど、著者は考察を積み重ね、この火事に「お上」の意向が働くところのあったことを想定する。すなわち、お七は火事とは無縁ではないが、お七の事件そのものは実はボヤ程度だったこと、「お七火事」と通称されている天和二年暮の大火はお七は避難者であったこと、しかしボヤを出した程度のお七が火刑になり「お七火事」の犯人とされたのには相応の理由があり、その後経歴などが曖昧になっていくのも理由があること、後に物語化されるのには別のモデルがあったのではないかと思われること、等々。読み物風の平易な記述で、これまで論じられることの稀だったお七火事の真相に迫り、さらに元禄期の災害に筆を及ばせ、江戸災害略年表も付載して、災害史の側面も配慮した。
●書評が出ました●2001年9月11日埼玉新聞(評者:西上心太)/同9月18日千葉日報(評者:同)など
目次
一 江戸繁昌記/二 天和の治/三 天和の大火/四 謎解き お七火事/五 元禄の防火と火災/付 天和の大火罹災大名表/江戸災害関係略年表/参考資料
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