教育研究所
№1012「"プラゴミ"から考えよう」
奈良公園のシカが,最近,次々と死んでいるそうである。解剖したところ,胃の中から絡まり合った異物が出てきた。それはポリ袋の塊で,胃袋が機能しなくなって死に至ったのだという。
どうやら観光客が放置したポリ袋を食べてしまったらしい。今までも注意を促してきたそうだが,心無い(無頓着な)観光客が多く,ポイ捨てが後を絶たないらしい。
一方,海洋ゴミが,海の生物の生存を脅かしているということである。ここでも海洋ゴミの多くをプラゴミが占めているそうだ。プラゴミは,ペットボトルのようなものは海面を,微細なものは海中や海底を浮遊しているうちに,海洋生物が食べて胃袋にたまり奈良公園のシカと同様の運命をたどることになる。
これらを,単なるマナーの問題やごみ処理の仕方に矮小化せず,考え直す必要がありそうだ。九州は暑く,北海道は涼しいというこれまでの常識を覆し,今や九州が28℃で,北海道が39℃という時代である。「どうしたんだろう?」というレベルを超えて,「異常事態」である。根本から見直し,しっかりと対応していくことが急がれる。(註:環境破壊に影響のあるごみとしては,プラゴミは,そのほんの一部である。念のため。)ちなみに京都府亀岡市は,「プラごみゼロ宣言都市」で,積極的に取り組んでいる。
西武線H駅の近くのK小学校に勤務していた頃,都教委の環境教育の研究費を受給して研究したことがある。その時,3つの哲学「地球は生態系すべてのものである。だから,人間だけでなくすべての生物にやさしくなければならない。」&「地球には限りがある。だから自然保護,環境保全に努める必要がある。」&「地球環境を現状のまま,あるいはもっと良くして次の世代に渡していく義務がある。」,3つの内容「環境を大切にする心を育てる」&「環境と人間の役割を理解させる」&「環境を保持増進していく実行力を育てる」と,まとめたことを思い出した。今改めて,この大切さを実感している。(H&M)
(2019年7月9日)