教育研究所
№1014「歎異抄・たんにしょう」
アニメ映画「歎異抄をひらく」が上映中である。この原作は,高森顕徹著「歎異抄をひらく」だそうである。親鸞聖人が生前に,人々や弟子たちに語ったことを,弟子である唯円(ゆいねん)が書き留めたものである。
Y新聞の広告欄に,アニメ映画で親鸞聖人の声を演じた俳優石坂浩二が,歎異抄の有名な言葉として,「善人なおもって往生を遂ぐ,いわんや悪人をや」(善人でさえ浄土へ生まれることができる,ましてや悪人は,なおさらである)を挙げている。「悪人こそ救われる」ということであれば,「では,どんどん悪いことをしよう!」ということにならないかと思い違いをする人がいるかもしれないが,そんなはずのないことは,考えれば気づくはずだというのである(要約引用)。
どうやら,親鸞聖人は,「これはこうすべきだ!」「こうしなさい!」と説教をするのではなく,「火宅無常の世界は,万のこと皆もってそらごと,たわごと,真実(まこと)あることなし」(この世のことすべては,そらごとであり,たわごとであり,まことは一つもない)などと,自分自身で自分事して考えて,考えをまとめ,それに従って行動すべしと説いているようである。そのことは,「親鸞は弟子一人ももたず候」(親鸞には,弟子など一人もいない)が物語っているように思われる。
道徳科や学級指導,キャリア教育での指導に,この発想は活用できそうである。(浅はかな感想を,浄土真宗の信者である両親に免じて親鸞聖人様,どうぞお許しください。) (H&M)
(2019年7月11日)