教育研究所
№1015「姓名というのだから...」
名刺交換をすると,名前の下に,ローマ字で読み方を併記してある人が少なくない。私もそうしている。ただし,昔は「名・姓」の順にしていたが,パスポートを更新した際「姓・名」の順でいいことになったことから(平成の初めころだったと思う?)それ以降は,日本語表記と同様に「姓・名」の順にしている。
歴史的にみると,明治の文明開化の時代,欧米の国の名前表記が「名・姓」になっていることに合わせ,国内では漢字で「児玉信之」と「姓・名」の順に,対外的にローマ字表記にする際は「Nobuyuki Kodama」と「名・姓」の順にしていた。日本文化を無理やり欧米流に合わせたのであろう。
国語審議会が2000年(平成12年)に「言語や文化の多様性を意識し,生かしていくべきだ。ローマ字表記においても姓・名の順が望ましい」と答申したことに伴い,文化庁「通知」により2006年(平成18年)から中学校英語教科書でも「Nobuyuki Kodama」ではなく,「 Kodama Nobuyuki」と「姓・名」の順に表記されるようになった。教師をしていながらうかつにも全く気付かなかった。
ところで,最近,全ての場合に,名前表記を漢字でもローマ字表記でも,「児玉信之」「Kodama Nobuyuki」と「姓・名」の順に統一しようという方向が出ているようだ。「今さら」なんてイチャモンは付けず,素直にそうしたいと思う。(H&M)
(2019年7月12日)