教育研究所
№1028「最も大事なことなのに...」
新聞やTVの報道(6月19日)によると,OECDの2018年TALIS(タリス)の調査によると,教員の勤務時間は加盟国中小学校が週当たり54.4時間,中学校が56.0時間と最も長いということである。
これは,週5日勤務として単純計算では,小学校は54.5÷5≒10.9つまり毎日約3時間弱の時間外勤務(退勤は午後8時過ぎ),中学校は56.0÷5≒11.2つまり毎日約3時間強間の時間外勤務(同)である。実際は,日によってこれよりかなり退勤時刻が遅くなるものと考えられる。
今後,「子供と向き合う時間」を確保し,「子供に質の高い教育」を行い,「子供に生きて働く知識・技能の習得,未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成,学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力(主体的学習に取り組む態度)・人間性等の涵養」を実現するために,働き方改革を進める必要がある。
このことに関連して残念なのが,OECDのこの調査によると,指導力の向上に関する「教員が研修に使う時間」が最も少なく,学習活動の質にかかわる「子供に批判的に考える(クリティカル・シンキング:単に批判することではなく,本当にこれでよいかと疑問を持ち,適切に分析し,考えを深め,課題を解決していく思考のこと)必要のある課題を与える」が最下位であるということである。働き方の質,授業の質についても併せて検討する必要がありそうである。 (H&M)
(2019年8月1日)