教育研究所
№1037「"令和"最初に開校する都立高等学校~東京都 北区 西が丘に 家庭・福祉高等学校(仮称)~」
新学習指導要領(総則)の高等学校教育の基本と教育課程の役割の中で、就業やボランティアに関わる体験的な学習を通して、勤労の尊さや創造することの喜びを体得し、望ましい勤労観、職業観の育成や社会奉仕の精神を涵養する。と,ともに生徒が自己の在り方生き方を考え、主体的に進路を選択できるよう、組織的、計画的な進路指導の充実を図ることが求められている。
令和3年度、北区西が丘に、『令和』になって最初に開校する都立高等学校、「都立家庭・福祉高等学校(仮称)」が開校する。(以下(仮称)は(※)で示す)
東京には、多様な人々が生活しており、少子高齢化社会に対応して介護人材を育成する福祉学科、入学希望の多い調理師の養成や家庭状況に応じて不足が見込まれる保育人材を育成する家庭学科を設置。地域や社会の保健・福祉等を支え、人々の心身の健康の保持増進に寄与する専門性の高い実践能力とともに豊かな人間性を身につけた人材の育成を目指す高等学校である。
探究学習や高大連携の取り組み、企業等とのインターンシップや実習、親子サロンや高齢者ふれあいカフェの運営等、地域等と連携した「社会に開かれた教育課程」を実践していく高校として期待されている。
先日、東京都立赤羽商業高等学校内に開室している「家庭・福祉高等学校(※)開設準備室」を訪問し、富川麗子校長先生をはじめとする5名のスタッフの先生方にお会いし、校長先生から家庭・福祉(※)高等学校の教育目標、グランドデザイン、教育課程、開校に向けての取り組みの様子などについて、聴くことができた。
家庭・福祉(※)高等学校は、「家庭学科」、「福祉学科」二学科三科を兼ね備えた都立で初めての高校、「家庭学科」には、幼児教育・保育系や栄養・健康系の上級学校への進学を目指す人間科学科(※)と卒業と同時に調理師の資格が取れる調理科(※)の開設、「福祉学科」には、介護福祉士国家試験受験資格を得ることができる介護福祉科(※)の開設を目指して取り組んでいる。
家庭学科 |
福祉学科 |
||
人間科学科 |
調理科 |
介護福祉科 |
|
目標 |
保育士養成、栄養施設等の上級学校へのAO入試や ⇒子供たちの未来を育む幼稚園教諭 ⇒健康と笑顔を導く栄養士 |
調理師免許の取得及び資格を生かした進路選択の実現 ⇒健康と笑顔を導く栄養士 「美味しい」を武器に世界に挑戦するシェフ |
介護福祉国家試験受験資格の取得及び資格を生かした進路選択の実現 ⇒輝く生活を支える介護福祉士 |
「学校案内パンフレット」に示されているコンセプト、充実した施設、授業、部活動等は次の通りである。
◎ 3つのコンセプト
1.スペシャリストの育成・・・資格等を生かした進路選択の実現
〇 幼児教育・保育系、栄養・健康系等の上級学校への進学
〇 調理師免許取得
〇 介護福祉士国家試験受験資格
2.探究活動の充実・・・AO入試や推薦入試等による上級学校への進学の実現
〇 探究型の学習の充実
〇 大学等との連携の充実
3.地域との連携・・・地域と共に生徒を育成
〇 インターンシップや施設実習
〇 スクールレストランの運営
〇 ボランティア活動等
◎ 充実した施設でスクールライフを!
・多目的ルーム:地域や大学、関係機関との連携を深める
・課題研究室:スポーツと健康・栄養についての実習ができる課題研究室
・調理関係:第1調理実習室、プロ仕様の総合調理実習室、階段講義室の第2調理実習室、試食スペースもゆとりある第3調理室、
スクールレストランなどを行う試食室、店舗経営についての実習ができる課題研究室
・保育関係:さまざまな保育領域を学習する第1保育室、電子ピアノ(20台以上)のある第2保育室
・福祉関係:和室・ホテル仕様の空間での実習ができる課題研究室
◎ Q&A
Q1.どんな授業がありますか。
A1 それぞれの科ごとに充実した施設を活用し、身に付ける授業があります。
また、学校外での施設や事業所での実習があることも特徴です。
Q2.どのような資格が取れますか。
A2 申請予定ですが、調理科では調理師免許、介護福祉科では介護福祉国家試験受験資格が取得できます。
Q3.調理科(※)や介護福祉科(※)から上級学校への進学はできますか。
A3 できます。上級学校への進学希望者に対しての補習・講習等を計画しています。
Q4.部活動はどんなものがありますか。
A4 バレーボール部、卓球部、テニス部、女子サッカー部、音楽部、調理部、ボランティア部などを検討しています。
◎ 地域との連携
・地元の高齢者福祉施設等と連携し談話室やサロンを開催
・地元の乳幼児の親子とのサロンなどの交流活動
・「ボランティアの赤商」の赤羽商業高校の伝統を引き継ぎ、ボランティア活動の充実
◎ 中学生向けキャリアガイダンス(ウインタースクール)が、今月、12月21日(土)午前10時~ 家庭・福祉高校開設準備室(赤羽商業高校内)会議室で行われる。
内容は、パネルディスカッション ~専門学科高校で学んだ先にあるもの~
専門学科高校を卒業して調理・幼児教育・介護福祉等の仕事に就いている方々によるパネルディスカッションから専門学科高校で学ぶ意義、進路について考える。(保護者の方の参加可能)
現在の大学生の3割近くの学生が自分の進路選択が決まらない状況の中で、高校生活を通して、「社会・職業への円滑な移行に必要な力」、「地域社会の知識理解」、「社会の一員として参画し、貢献する意識」、や「社会的な自立の精神」が育成される家庭・福祉高校の一日でも早い開校が求められていることを改めて認識した。
令和3年4月に開校を予定され、現在の中学2年生が、第1期生となる。
将来、「幼児教育・保育」、「栄養士」、「調理師」、「介護福祉士」を目指したい中学生、少しでも関心のある中学生や保護者の皆さんが、高校への進学先の一つとして考えることをお勧めしたい。
開設準備室を訪問させていただき、校長先生はじめとする5名のスタッフで、学校名や学科名の考案、教育目標、教育課程、高大連携や実習施設の開拓、調理師養成施設や介護福祉士養成施設に関する整備。必要な設備や備品等の情報収集、検討、研究に努め、英知を出し合っている姿を拝見し、今までの都立高校にない素晴らしい専門学科高校が創られると、感銘するとともに確信している。(Y・H)
(2019年12月11日)