教育研究所
№1044「コスモス」
「秋桜」と書いてコスモスとルビを振ったこの花は,わが国では知らない人がないほどなじみの花です。ところが,実はメキシコ原産でスペインに持ち込まれたときギリシャ語の「kosumosu(美しい)」 の名が当てられ,日本には明治十二年に,維新後のお雇い外国人彫刻家ラグーザによって持ち込まれました。日本では,まだ百数十年しかたっていない新しい花なのです。
日本の洋画家の草分けとなったラグーザ玉は,彼が日本でその才を見抜いて,幼いころから日本画的な模写ではなく写生やデッサンから絵を教えた,彼の妻です。コスモスも,彼女の絵画修行に大きな役割を持っていたことでしょう。
長野県佐久市の市花はコスモスです。地元の人が植えたコスモス街道は有名です。
佐久市出身の丸岡秀子は,平成の初めに亡くなった社会運動家ですが,生前「読むこと」「書くこと」「行うこと」を多くの人に語りかけ,ご自身の生き方として実践されたそうです。とにかく読む,気づいたことを自分の言葉で書く,そして書きっぱなしにせず,責任を持って実践するということです。
佐久市教育委員会では,平成十九年からこの三つの言葉を中心とした教育プランを「コスモスプラン」と名付け,家庭・地域一体となって「一人ひとりがきれいな花を咲かせましょう」と取り組んでいるそうです。
コスモスが新しい土地になじんだように,多様な新しい社会の変化を乗り切るために先人を受け継ぎつつ美しい日常を作りたいものです。(H.I)
(2020年8月21日)