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№1047「国語に関する世論調査」

 このほど文化庁から令和元年度の「国語に関する世論調査」の結果の概要が公表された。
 この調査は,現在の社会状況の変化に伴う日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し,国語施策の立案に資するとともに,国民の国語に関する興味・関心を喚起することを目的に,全国の16歳以上の男女を対象に行われたものである。
 今回の調査は大きく,「国語に対する認識」,「外国人と日本語に関する意識」,「敬語に関する言葉遣いに対する印象」,「平成22年の常用漢字表改定で追加された漢字の印象」,「新しい表現に対する印象や,慣用句等の認識と使用」について個別に面接をして聞き取りをしている。
 「国語が乱れていると思うか」という設問について,年齢別に過去の調査結果(平成26年度)と比較すると,下のグラフのとおりになる。

 今回の調査では,「乱れていると思う(計)」の割合は40代~60代で7割を超えている。平成26年度調査と比較すると,「乱れていると思う(計)」の割合はほとんどの年代で減少傾向にあり,中でも30代~50代では,それぞれ約10ポイント減少している。
 この設問で国語が「非常に乱れていると思う」と「ある程度乱れていると思う」を選択した人(66.1%)に,どのような点で乱れていると思うかを尋ねたところ(選択肢の中から三つまで回答),結果は下のグラフのとおりであった。

 「敬語の使い方」(63.4%),「若者言葉」(61.3%)の割合が他に比べて高く,それぞれ6割を超えている。次いで「新語・流行語の多用」(34.3%),「挨拶言葉」(32.2%)が3割を超えている。
 一方,国語が「余り乱れていないと思う」と「全く乱れていないと思う」を選択した人(30.2%)に,乱れていないと思うのはどのような理由からかを尋ねたところ,「言葉は時代によって変わるものだと思うから」が39.0%で最も高く,次いで「多少の乱れがあっても,根本的には変わっていないと思うから」が29.9%,「いろいろな言葉や表現がある方が自然だと思うから」が20.4%となっていた。

 学校教育,特に国語教育では正しい日本語を指導してきている。それは,言葉は年齢や性別,地域等に関係なく,その言葉を使う人たち全員が,共通に理解し,使えることが必要だからであり,このことについての異論はないのではないかと考える。特に,現在,言語能力の育成が求められる中,最大の言語環境である教師が正しい文字で書いたり,正しい言葉で話したりすることは非常に重要であると思う。
 さらに,子供が話したり書いたりしたものに誤りがある場合,教師が適切に直していくことも,子供が正しい日本語を使えるようになるためには必要なことである。しかし,そのことが極端過ぎると,子供は話したり書いたりすること自体に意欲を無くしてしまうのではないかと懸念している。
 「正しい日本語」という基準をもつとともに言葉の変化も視野に入れ,目的や場に応じた言葉を使えるように育てていくことが,自分の思いや考えを豊かに表したり,正しく伝えたりできるようになることにつながるのではないかと考えている。

(A.O)

(2020年11月1日)