教育研究所
No.380 「校歌」(2014年7月29日)
20年ほど前に在職した学校では,歴代のPTA役員の懇親会が毎年行われている。
先日,2,3年ぶりに出席した。
在職当時の多くのPTAの役員の方に会うことができた。
その多くの方は,PTA活動に参加された後も,引き続き地域の活動に積極的に,熱心に参加されていることが,お話からわかった。
子ども会活動,放課後の子どもたちの活動への協力,青少年の健全育成の活動,文化活動,体育活動,地域の自治会活動などのリーダーとして活躍されている。
元気づけられる思いだった。
そして,会は最後に懐かしい校歌を合唱して終わった。
校歌を歌いながら,在職当時のことが走馬燈のように思い出された。
各学校には校歌がある。
在学中は,入学式,卒業式,始業式,終業式などの儀式の時や運動会などの学校行事の折に歌われる。
卒業しても同窓会の最後に歌うこともある。
学校を誇りに思い,同級生,同窓生としての一体感を覚えるものである。
私が,在学した学校にも,在職した学校にもそれぞれ校歌があった。
校歌を一人で思い出して歌おうとしても,なかなかメロディも歌詞も出てこない。
印刷された歌詞を前にして,みんなで歌う機会があると不思議に歌えるものである。
合唱になると大きな声が出て,思いっきり歌ってしまう。
そして,その当時のことを思い出す。
それぞれの校歌には特徴がある。
新制中学校として昭和22年に生まれた学校は,「新生日本の礎をわが手によりて築かんと学ぶ健児に栄えあらん」「希望あふれるまなびやの窓は開きぬ」と歌っている。
戦後の教育にかける熱い思いが伝わってくる。
生徒が作詞作曲した校歌もあった。
「空が教えてくれる。自分だけのこの世に一つしかない自分の道を明日に向かって」と歌っている。
中学生らしい自己実現の願いがこもっている。
どの校歌もすばらしい。
歌うと,元気が出てくる。
冒頭に紹介した学校の校歌は,まどみちおさんの作詞によるものである。
まどみちおさんは,説明するまでもなく,たくさんの童謡の作詞者であり,今年2月104歳で天寿を全うされた。
歌詞の1番では,「ここは宇宙のどのあたりか」「生きものの星はこんなに美しい」と歌い出し,中学生に,明日の地球のまもり手として,心やさしくあれと,願っている。
2番では,「今は時間のどのあたりか」「ようやく人は己を見つめてる」と歌い出し,中学生に,明日の平和のにない手として,いつも賢くあれと,願っている。
スケールの大きい歌詞である。
生徒にも,保護者にも,教職員にも愛されている校歌である。(K・T)