教育研究所
No.378 「また,また,気になる話し方 ― 老人の世迷言」(2014年7月14日)
いろいろな縁,様々な目的,多様な用事で,学校訪問をする機会があります。
大方の学校では,セキュリティーがしっかりしていて,門が閉ざされています。
ブザーを押し,名前を告げると,「○○先生,お待ちしておりました。どうぞお入りください。」(副校長先生が,何時ころに誰それが来るのでよろしくと指示してあったに違いない)と,主事さんの丁寧な言葉に迎えられ,ほっとして中に入ります。
玄関では,主事さんが,スリッパを揃えて,笑顔で迎え,校長室へ案内してくださいます。
校門でのチェックなし,玄関で来賓用の靴箱からスリッパを出して履き,近くを通りかかった児童に校長室はどこか尋ねます(児童は,お客様と認めてくれ,丁寧に教えてくれる)。
校長室へいきなり入るのはどうかと思い,職員室をノックして副校長先生に,「午後の研究会にお招きいただきました○○です。よろしくお願いします」(と言えば,校長室に案内してもらえるかと思って)と告げると,ちらっとこちらを見て,何と「あー,そうですか」と再びパソコンに目を落として職務に没頭し始めました。
という学校もまれにあります。
研究授業では,難しい教材の扱い方や指導法の工夫,子どもの反応に応じた支援の仕方などを提案します。
どの授業者も誠実で,前向きにチャレンジし,子どもとともに奮闘し,多くのことを参観者に学ばせてくれます。
感謝・合掌です。
しかし,緊張のあまり,つぎのような言葉遣いに,教師は子どもにとって正しい日本語遣いのモデルだからと,少々気になりますので紹介します。
○「これから○○というテーマで,作文を書いてもらいたいと思います」
→→→ 作文を書いてもらいますで,「と思います」はいらないと思います。
○「わかった人,手を挙げてください。では,わからない人手を挙げて」
→→→ わかった人として挙手しなかった子どもは,わからない子どもだから,わからない人に手を挙げさせる必要があるでしょうか。特に,授業公開の日はやめてもらいたいです。
○「この問題は難しそうだね。では,隣の人とおしゃべりしてごらん」
→→→「隣の人と,どうしたらよいか話し合って(or相談して)ごらんなさい」のほうが,意図が通じますし,ホッとします。
○「このやつと,このやつで,どこが似ていますか?」
→→→ 複数の考え方や仕方を比較して,異同を考察すると,事の本質が見えてきて理解しやすくなります。でも「やつ」はいかがなものでしょうか。
「この考え方」「この仕方」などと表現した方がよいと思います。
○子どもの発言を受けて,「え!どうして足し算なの?」と,驚きの声を挙げました。
そして「正しくは何算でしょう」と,進めました。
→→→「なるほど,12+9と足し算にしたのね。ほかにありませんか?」と別の意見を求めると,多分,授業者が期待している「引き算で,12-9です」が出るでしょう。
そのあとで,「2つの考え方が出てきました。どちらが正しいと思いますか。
みんなで考えてみましょう」としたらいかがでしょうか。(H・K)