教育研究所
No.375 「ラズベリーパイとスクラッチ(その2)<全3回>」(2014年6月27日)
その論争(「いずれ,コンピューターが教員の普通の道具になる」と予測した若者(当時の私)の主張と「いろいろな機器が教育に導入されても指導は変わらない、ほこりをかぶるだけだ」(当時の先輩)の主張)から30年弱,今やパソコン,デジタル機器の全盛であり,ネット活用の時代である。
タブレットの学校導入も進み,当然,指導の技術もそれに応じて検討され,授業風景も変わってきたように見える。
ところが,先輩が言うように指導は変わらず,学習理論やグローバルな要請に視座をおいてみると,古い指導観こそがほこりをかぶったまま続いている現状もある。
もっとも,若い教員たちが学習指導案すら機械やネットに依存する状況を見ると,あの論争は結局痛み分けだったかと,苦く思い出されるのだ。
その頃,つまり30年ほど前,時代を先取りする欲もあり,周囲にかなり先駆けて,月収の数倍を投資してパソコンを買った。
基本から勉強しようとベーシックなどのプログラムに関するリテラシーに挑んでもみた。
しかし,多忙さにかまけて投げ出しておくうちにハードの進化,ソフトの開発,価格の低廉化などが爆発的に進み,ソフト操作の習熟にもおいて行かれそうになり,今や,すっかりただの消費者になりはてた。
実際,身についたのはコンピュータリテラシーではなく,提供されるソフト操作とインターネット閲覧技能だけで,コンピューター自体を使って何かができるというわけではない。ほとんどのご同輩がそうだろうと思う。
そこで,ようやく,標題の横文字「ラズベリーパイ」と「スクラッチ」の話題である。
ラズベリーパイはケーキ屋にでもありそうなスィーツが頭に浮かぶイメージだろうか。
スクラッチは,コインで削り出す宝くじなどのイメージが思い浮かぶかもしれない。
これがコンピューター関連の用語であることをはじめから知っていたという人はそう多くはないはずだ。
(この項続く)(H・I)<(その3)は2014年7月1日配信予定>