教育研究所
No.371 「春の植物教材」(2014年5月2日)
学校は新入生を迎え,新鮮な気持ちで新しい教育活動を開始されたと思います。
4月は気温の上昇が急激で,あっという間に植物の冬芽が展開し花が開花し葉が成長を始めます。
一方,生活科や理科の学習は早くスタートさせたいのですが,校務が忙しくままならないことが多いかと思います。
しかし,あわてることはありません。
確かにサクラやコブシ,オオイヌノフグリ等の花は咲いていますが,地温の上昇はまだ十分ではなく,種子の発芽は4月下旬から5月にかけて開始します。
種まきは4月下旬から5月上旬でも間に合います。
先ず,今年の各学年の植物教材は何にするか決めます。
1学年はアサガオ,2学年はヒマワリや野菜類,3学年はホウセンカやオシロイバナ,4学年はヘチマやゴーヤ,5学年はアサガオやカボチャ,6学年はジャガイモ(これは3月に植えておきたい)等が考えられます。
次に,種子や苗,植木鉢,支柱,たい肥,肥料等を購入します。全校の花壇の割り当てを決め,たい肥をまいて耕しておきます。
その上で,種子や苗の観察・記録を残して種まき,植え付けをします。
ここから6か月から10か月間世話をしながら成長を観察・記録して,植物の発生~成長~開花~結実~枯れ死の順序,植物の体のしくみ,気温との関係,花の構造,受粉と結実の関係,光合成とでんぷん,維管束と水の通り道等の学習をし,植物の営みや構造の規則性を見つけていきます。
観察・記録で大切なことは,毎回,児童生徒に観察の視点を示して,絵や文章で記録します。
また,記録は八つ切りの画用紙を使って書き,蓄えていきます。
例えば,今日は種まきをして1週間になりましたから,根の観察をしましょうと話し,先生の播いた種子を掘り起こして観察・記録します。
また,今日は1週間前と比較して,茎の高さ,葉の枚数,決めた葉の大きさを物差しで測って記録しましょう。
今日は開花後のサクラの変化を観察・記録しましょうという具合です。
1~2か月に1度,蓄えた記録を使って,植物の成長や開花,結実等の規則性を見つける学習を行います。
4学年では植物の成長・変化と気温の関係を考え,規則性を見つけます。
5学年の受粉と結実の実験は,学級で30~40個の花の実験ができるのはアサガオで,ヘチマやカボチャは学級で10~15個の花で実験しなければなりません。
4月に花壇にアサガオの種子をかなり播いておくとよいでしょう。
4学年は,ヘチマやゴーヤの他に木の1年間の変化を追いますが,どの学校にもありそうな落葉樹が良いでしょう。
サクラが取り上げられることが多いのですが,ソメイヨシノの開花が終わっていましたら,開花が遅いヤマザクラやオオシマザクラ,サトザクラ等を選ぶとよいでしょう。
ヤマザクラは茶色の葉と共に開花し,オオシマザクラは緑色の葉と共に開花し,サトザクラは大部分花弁が八重になっていますから見分けられます。
各学校が,充実した学習活動のスタートができますよう願っています。
(K・T)