教育研究所
No.365 「冬の植物の発見」(2014年02月04日)
(1)常緑の植物
冬の校庭や街路樹を見ていると寒々として,あたかも植物は死んでしまったように見えます。
木は幹と枝のみになり,緑色の部分は全く見当たりません。
しかし,校庭や公園,林の様子を注意してみると,寒風の中でも緑色の植物を見つけることができます。
例えば,校庭や公園の低い位置にあるものにヤツデやアオキという高さ1~1.5m位の木があります。
深い緑色をしていて,冬とは思えないような生き生きとした様子です。
もう少し背が高い3~5mの木では,ヤブツバキとサザンカが緑色の葉を輝かせています。
この両者は冬に花を咲かせますので,鮮やかな緑色の間に点々と紅色と黄色の見事な花を付けて楽しませてくれます。
さらに,背の高い8~15mの木では,シラカシやアラカシ等のドングリをつける木があります。
よく見ると木の下に紡錘形のドングリが落ちていて,葉は深い緑色をした硬質の質感を備えています。
これらの木は,一年中常緑の木で常緑広葉樹または照葉樹と呼ばれていますが,温かい鹿児島県から海岸沿いに北上して,山形県や宮城県に達しています。その先は温帯のブナやイヌブナの林に移行していきます。
よく常緑樹は葉を落とすことはないのかという質問がありますが,常緑樹も落葉します。
落葉する時期は秋ではなく春に落葉します。
春に新しい葉が出ると2年目や3年目の古い葉は落葉して世代交代をします。
5月ごろ,ツバキやカシの下を見ると数年間に落ちた葉が積み重なっています。
(2)落葉樹の枝
冬の落葉した木を注意深く見ていると,いろいろなことに気づきます。
その一つに枝の太さと枝の配置の疎密の関係です。
例えば,街路樹によく使われているトチノキやスズカケノキ(プラタナス)の落葉した後の枝は太くて,枝の配置が荒く疎になっています。
冬芽は大きく小指の太さ位あります。
一方,ケヤキやエノキの枝は,細く繊細で枝の配置がきめ細かく蜜になっています。芽の大きさは幅2~3mm位しかありません。
このことは,何を意味しているのでしょうか。
冬の落葉した枝ではなく,春や夏の葉が茂る様子を観察するとその意味が分かります。
春や夏のトチノキやスズカケノキは,枝に直径20~30cmの大きな葉を付け,葉の数は少数です。
一方,ケヤキやエノキは長さ5~8cmの小さい葉を多数付けています。
トチノキやスズカケノキの枝が太くて疎についているのは,葉が大きく数が少ないからで,ケヤキやエノキの枝が細く繊細で配置が密なのは,葉が小さく数が多いからであることが分かります。
冬の校庭や街路樹は寒々としていますが,よく観察してみると新鮮な発見がありますので,子供たちと挑戦してみてください。(Y・H)