教育研究所
No.364 「抱負をもつこと」ということ(2014年01月20日)
新しい年を迎えた。ただそれだけで,心改まり,希望が湧き,この1年どう生きるか,考えたくなるものである。
新年は,何か厳かな感じがするすばらしい節目の時である。
1週間,1ケ月,1年という時間の流れに切れ目をつけたのは,人間のすばらしい知恵だと思う。
人間は,どんなに努力していても,時には惰性に流され,生活がマンネリに陥りがちになるものだ。
だからこそ,時々自分をふり返り,決意を新たにすることが大切なのである。
教職にあったころ,新年を迎えた中学校では,一月の最初の学級活動の時間に,よく,生徒たちに「今年の抱負」を発表する機会を作った。
生徒たちは,「勉強をがんばる」「部活動をがんばる」「遅刻をしない」「友だちと仲良くする」「宿題を忘れない」「数学をがんばる」「テストをがんばる」「バレーボールの大会で優勝する」など短い言葉で抱負を述べていた。
中学生の関心からして,部活動に関するものも多いが,やはり一番多いのは,学習に関することである。
生徒たちは,「勉強が分かりたい,楽しく学びたい」と強く願っていたことが分かる。
しかし,当時は,生徒たちの思いや願いの奥に何があるのか突き詰める必要があったにもかかわらず,落ち着いた中で授業を進めることが生徒たちの願いに近づくことであると考え,そのことに力の大半を注いでいた。
そのため,繰り返し,暗記,ワークシートを使った授業など教え込み的な授業が多くなり,じっくり考えて,課題解決をする学習が少なくなってしまっていた。
生徒たちが本当に望んでいたことは,生徒同士の中で,分からないことが分からないといえ,分かった生徒も分からない生徒の疑問や課題に一緒に取り組む。そしてその疑問や躓き,悩みを自分のものとして取り組むことによって,本当に授業が分かり,学ぶことの楽しさを感じることだったと考える。
そういう課題解決の工夫をし,時間を作ることこそ落ち着いた中で授業を進める力になったのではないだろうか。
それにより,各教科の課題解決のための課題意識も高まり,解決方法も深まりを見せることになっただろう。「授業をがんばる」という願いを持つ生徒たちに,授業や学ぶことに充実感を持たせることができたのではないかと,反省する。
今にして思う。「自分に自信が持てて,自分のできない課題を,自分の課題として嬉々として取り組む」そんな中学生の姿を追求すべきだったのではないだろうか。
その中からこそ,今必要とされる,「思考力」「判断力」「表現力」が培われると信じて。(K・T)