教育研究所
No.355 近ごろ出あったこと(2013年08月07日)
キャリーバックをひいて歩く人が増えました。
周りの人にぶつけたり,急に止まってつまずかせたりすることが少なくありません。
その上,滅多に謝らないのです。
雨の駅で濡れた傘を横向きに持って階段を上がっている人がいます。
後ろの人を突き刺しそうで,とても危ないのです。
小さな声で,「危ない」と知らせることがありますが,怖い表情で「ギロ!」と,一瞥されるだけが落ちです。
電車の中で,隣の人の足を踏んでも,「あれ!」と振り返るものの,「すみません」のひと声も言わない人が多いものです。
こんなことが,日常的に積み重なって,何かの拍子に鬱積していたものが突然爆発して大きな事件のようなことが起きるのかもしれません。
意図しないでも,何かの拍子に周囲に迷惑をかけることがあり得ます。
反射的に,「ごめんなさい。大丈夫ですか。申し訳ありません」と,謝ることができるようになりたいものです。
先日,新宿に向かう京王線の車内で,とても温かい光景に出合いました。
小さな子どもとお父さん,お祖父さんが乗って来ました。
前の席が3つ空いて仲良く並んで座り,楽しそうに会話が弾んでいました。
すると,次の駅で高齢の女性が乗ってきました。
お父さんが「どうぞ」と席を譲りました。
「どうもありがとうございます。
お父さんを立たせてすまないですね」と,その女性がお礼を言いました。
お父さんは「どういたしまして」と返礼。
すると,子どもが「お父さんどうぞ」と言って立ち上がりました。
お父さんは「ありがとう」といって,その子を自分の膝にだっこして座りなおし,何ごともなかったように,また3人で仲良くお話を続けていました。
高齢の女性は,そんな光景を目を細めニコニコ顔で眺めていました。
電車の中は,夏なのにまるで春風が充満したようなさわやかな雰囲気になりました。(H・K)