教育研究所
No.351「出会うこと」ということ(2)(2013年06月06日)
以前からずっと願っていたことの1つが,「大好きな猫を飼いたい」ということだった。
これまでの日常と比べ,少し生活する時間に余裕ができると考え,猫の世話ができると思ったからだ。
「どうすれば,すてきな猫に出会うことができるかな!」いざとなると考えてしまった。
最後の勤務校になった地域の方から,猫を保護しているボランティアグループがあることを教えていただいた。
私は,連絡先を聞き,急ぎ電話で話しを伺った。
そのボランティアグループからもすぐさま,「里親を考えて下さって,ありがとうございました」と,手紙が届いた。
その手紙には,「保護している3匹の猫の写真と猫の年齢,特徴」などが書き記してあった。
私はその手紙を読み,直観的に,そのうちの1匹を,我が家の家族にしようと決めて返事をした。
折り返し届いた手紙には,「1歳6カ月のオス猫のニック君です。優しくて,とてもいい子です。
しっぽは長くありません。
去勢は済んでおり,血液検査の結果でエイズ,白血病はありません。
とてもよく食べる丈夫な子です」
「ニック君は,玄関に出迎えてくれたり,後をつけてきて猫より人間が好きなようです。医者に連れて行ってもおとなしく,シャンプーも大好きです」
「子猫ではないということで先日の電話では,お話しいたしませんでしたが,ピンと来ない場合は,遠慮無くお断り下さい」
と丁寧な文章で,新しい家族になるはずのニック君のプロフィールが紹介されていた。
とても嬉しい気分になれた。
まるでお見合いか何かのような気分になった。
写真を見ても,のんびりそうでおとなしいことが分かる。
運命の出会いのような気がした。
娘は,「本当にこの猫でいいの。よく考えたら」と心配していた。
でも私は,「この猫に決めたの」と断言して早速に承諾の連絡をした。
翌々日,ニック君はやって来ることになった。
その日の朝からの私は,することも手につかないほどソワソワしていた。
何年も待たされたような気持ちだったが,正午前にニック君がやってきた。
缶詰などのキャットフード、臭いのついたトイレの砂が少々と予防注射をしたという証明書と一緒に。
かわいい彼だった。
ボランティアグループの方と,「この猫を共に生きる同伴者として最後まで愛育します。この猫を,完全室内飼いします。
もしも逃げられた場合はすぐに連絡し,見つかるまで探します。
やむを得ない事情により,この猫の飼育が出来なくなった場合は,必ず新しい里親を探し,当会に連絡します」との誓約書と交換に,彼は,我が家の一員となった。
彼は,すぐに腕の中におさまり,何の不安もないように私の手を,舌でペロペロなめてくれた。
「保護された時,クリーニング屋さんの前でうずくまっていたので,ニック君という名前がつきました。自由に名前を付けてあげて下さい」と言われたが,私はこの名前が気に入っていた。
今でも,ニック君で通している。
我が家の一員になる前は,どんな暮らしをしていたのか,どんな家で飼われていたのか,いろいろ想像してみると楽しくなった。
おとなしくて大きい音に驚くので,高齢者の方に飼われていたのかなと,思ったりしている。
我が家の家族として,9年が経った。本当に大切な家族である。(K・T)