教育研究所
No.350ぼくだったら,食べさせてあげる(2013年05月22日)
ある日,見るともなくテレビを見ていました。
ガーナのある地方の村に,村人がお金を出し合って学校ができ,その学校の子どもたちの学校生活が生き生きと映し出されていました。
子どもたちには,勉強ができるようになっただけでなく,給食も出るようになりました。
子どもたちは,とても喜んでおいしそうに食べていました。
ところが,この学校の窓の外から,かなりの人数の子どもたちが,羨ましそうにのぞきこんでいるのです。
不思議に思ったTV記者が教頭らしき先生に,「どうして給食を食べられない子どもたちがいるのか?」と尋ねました。
困り顔の先生が,
「この学校は国が作ったのではなく,村の人が金を出して建設しました。
そして,保護者が学費や給食費を出して運営しています」
「だから給食費の払えない子どもには,給食費は出せないのです」
と・・・
これを視ていた孫のUが,「ぼくが,おとなだったらあの子たちにもきゅうしょくを食べさせる。
だって,子どもは,だれでもおなかがすくんだよ。
お金のない子も子どもなのに」と,つぶやいたのです。
私は,「え!」と,孫のその顔を見つめました。
そして,つい「えらい!」といって,孫を抱きしめました。
孫は,「じーじ,何をするんだよ。苦しいよ!」と,びっくりして私の両腕を払いのけようと必死です。
どうなる事かと職業柄を丸出しで心配しながら番組を見ていると,結果的には,何か別の食事が用意されたようで,窓外にいた子どもたち全員が食事ができたというような映像が流れていました。
「おいしい!おいしい!」の歓声とともに,その子たちの笑顔が印象的でした。
「本当によかったね」と,孫とともに喜び合いました。
その孫も,4月から小学校に入学し,楽しいことは「そとあそびときゅうしょく!」と言って,元気よく登校しています。
日本では,給食費が払えるのに,窮屈な理屈をつけて支払いを拒否し,ほかの保護者の払った給食費に,タダ乗りをしている保護者もいると聞きます。
この問題どんな風に考えたらいいものでしょうか。(H・K)