教育研究所
No.333 父親の教え(2012年08月08日)
JAXA(「はやぶさ」プロジェクトマネージャー)の川口淳一郎教授は,著書「はやぶさ式子育て法」の中で,父親から「下ばかり見ないで時には上を見てごらん」と言われたことが,異例の創造的な発想と実現,限界の向こうにある限界を何度も乗り越えて「はやぶさ」を地球に帰還させた偉業につながったと述懐している。
ピラミットのような発想では何年たっても高いものはできない。
視線を上げれば発想が変わる。
高い塔を建てることだ。
それも一つでいい。
子どもを育てるには,スペシャリストを育てるインテンシブが大事だというのです。
あれこれ覚えて,それをテストで思い出して正解を答えるような教育は見直すべきだという。
その通りだと思った。
学校教育にかかわるものに大きな提案(警告)を与えてくれていると受けとめたい。
ところで,Kさんの父は,明治生まれの農民である。
Kさんが小学生の時,父に,蜜柑のさし木を500本して,3本成功したこと(経緯は省略)を自慢げに報告した。
そのとき,「そんなのは成功じゃない。日本一うまい1俵の米より,いい土を作って普通の米100俵のほうが価値がある。
農家は,一人でも多くの人に腹いっぱい飯を食えるようにするのが大事だ」「お前の実験は,農地試験場の偉い先生のすることで,俺たち農家はそれではいけないのだ」と,言ったそうである。
どちらの父親も人生の中で体験的に感得したものだったのだろう。
どちらの意見も正しいと思う。
ところで川口教授の著書の中に,「夏休みの宿題は3日で終わらせる」「本は,1ページ役立てば十分で,全部読み終える必要はない」というくだりがあるが,これには心の底から同感した。
特に前者については,私はもっと過激に実行していた。
夏休みになると,第一日目にドリル帳を開いて,問題も読まずに適当に数字や単語を埋めていった。
半日で終えることができた。
作文は,「○○という本を読みました。「・・・(引用して)」と,書いてありました。
おもしろかったです」ですました。
ただし,9月になって,×だらけのドリル帳とCと大きく書いた作文が返却されることを覚悟しておかなければならない。
教師は,子どもたちがすでに書けるようになった漢字の練習,すでに身につけた計算練習を宿題に出すことは,是非やめてほしいと思う。
子どもには,もっと別のことにエネルギーを使わせてやりたい。(H・K)