教育研究所
No.320故郷の里芋(2012年01月11日)
今年も17歳上の姉から故郷の里芋が送られてきた。
里芋は,インド,ネパール,マレーシアが原産地で,少しずつ栽培地が広がりながら大陸経由で縄文時代に日本へ伝わってきたのだそうだ。
我が故郷にも縄文時代の遺跡が出ているので,たぶんそのころから栽培されているのかもしれない。
温暖で,あまり湿気のない,どちらかというと砂交じりの畑が甘藷,里芋をおいしくしているとも聞く。
そんな里芋を今年もいろいろに料理して,中学校まで過ごした故郷の山と海と家族と友達を懐かしく,懐かしく思い出しながら味わっている。
里芋は,田楽にして食べる。味のしみた芋の煮っころがし(煮付け)もおいしい。
富山では,おはぎにして食べるそうである。
あんころやきな粉にするのだろうか。
山形では,饅頭にするそうな。
イチゴ大福のようなものなのだろうか。
芋煮はあまりにも定番である。
鍋に芋とあれこれ入れて皆でつつく芋煮は,体も心も人と人とのつながりもぬくとくなる。
今は,芋煮会と称してすっかりお祭りになり,観光名物化している。
芋煮をお椀によそったものが「芋の子汁」である。
我が故郷では,田楽,芋の煮っころがし,芋煮のほかに,芋を茹でてアジの塩辛を煮出した汁をつけても食べる。
また,囲炉裏の火に里芋をくべて真っ黒に焦がし,ふうふう吹きながら皮をむいて食べるのも香ばしくておいしい。(これらは,今はやっているかどうか分からない)
郷土料理とはいうものの,私が育った時代は,ほとんどの家(たぶん日本中)がその日暮しで里芋でも食べられればありがたいことで,毎日里芋ばかりで,あの当時,一生分を食べたような気さえする。
だから,私は,姉から送ってくる里芋以外はここ数年食べていない。
最近は,ラーメンの中に具として入れたり,味噌汁に入れたりするほか,1cmくらいの厚さに切り,少々塩を振りかけて衣を薄めに付けてんぷらに揚げている。
これは,結構いけるので,ぜひ試してほしい。
姉が長生きをして,故郷の里芋がいつまでも届け続けられることを願う日々でもある。(H・K)