教育研究所
No.319ばあばと隣のばあば(2011年12月21日)
SさんとKさんのうちは隣り合っています。
共通していることは,どちらにもかわいい孫が二人と,「ばあば」がいることです。
ある日,Sばあばが,ピンポ~ンとチャイムを鳴らして,Kばあばのところにやってきました。
少々まどろっこしいのですが,その状況を再現してみます。
「こんにちは。お願いがありまして」
「あら,どうしたの。私にできることなら」
「実は,孫のたいちゃんが風邪を引いて,熱が出て・・・」
「それはいけませんね」
「それで,食欲がなくて何も食べないの」
「それは,おかわいそうに」
「それで,何が食べたいのって聞いたのよ」
「何を食べたいのでしょうか。
アイスクリームなら,買ってきてあげますよ。
ちょうど買い物に行こうと思っていたところですから」
「それが・・・,ゆうくんの庭になっているみかんが食べたいというのよ」
「お安いご用。すぐとってきましょう」
「きっと,家の庭から,みかんがなっているのを見て,食べたいと思っていたのでしょうね」
「それでは,早速」
そんなことで,Kばあばは,みかんを数個もいでSばあばに差し上げました。
たいちゃんは,熱っぽい口に冷たいみかんを心地よく食べたことでしょう。
その夜,Kばあばの家では,この話題で食卓が大いに沸きました。
数日後,たいちゃんが,外で元気よく遊んでいる声が聞こえてきました。(H・K)
(2011年12月21日)