教育研究所
No.318人生の先輩としての役割(2011年11月09日)
齢を重ね,人生の先輩として何ができるかと考える年齢になった。
いろいろ考えてはいるが,その中で,最近,心がけていることがある。
それは,電車やバスの中で,座席を譲られたときの態度である。
私の見る限り,次のような受け止めをして,せっかくの子どもや若者の好意を無にするだけでなく,気まずい思いをさせていることが少なくない。
○立ち上がって,せっかく席を譲ってくれたのに,「大丈夫ですから…」と言って,頑 として座らない。
○「どうぞ」と席を譲っても,「すぐ降りますから…」とか,「次ですから…」などと無碍に断っている。
○中には,席を譲ろうとしている若者に,「私は,そんなに年寄りに見えますか?」と聞きただしている人もいる。
人生の先輩としての役割は,子どもや若者が席を譲ってくれたら
「ありがとうございます。助かります」
と喜んで,その好意に甘えることである。
そして,相手が先に下りるようだったら「ありがとうございました」と,素直に感謝の気持ちを伝えるようにする。
自分が,その人より先に下りるときは,「やあ,ありがとうございました。助かりました」と,お礼を言ってさわやかに分かれればよいと思う。
そうしたら,これからも老人や体に不自由な人,小さな子ども連れの人に席を譲る子どもや若者が増えるに違いない。
そこで,私は,子どもや若者から席を譲られたら,例え一駅でも,大きく喜んで座ることにしている。
自分も楽だし,この行為が,親切な子どもや若者を増やすことにつながると思うようになったからである。
席を譲ってくれた子どもや若者は,自分のした行為が受け入れられ,喜んでもらえたことに満足し,これからもこのようなことを進んで行うようになると信じるからである。
人生の先輩としての仕事は,我を張らず,子どもや若者のぬくもりのある心をもっともっと育てることにあるような気がする。
それは難しいことではなく,子どもや若者の優しい心遣いを素直に受け止め,言葉や態度で喜んで応えることである。(H・K)