教育研究所
No.317 秋の生きものの学習(2011年10月07日)
さしもの猛暑も去り,9月下旬ごろからようやく秋らしくなってきました。
あの猛暑を思い起こすと,最近の心地よい風に安心いたします。
秋といえば連想するのは,ナナカマドの紅葉であったり,マツタケの味であったり,栗の実の色であったりしますが,校庭や身近な路傍に秋を見つけるのも楽しいものです。
小学校における秋の生きものの学習のいくつかを以下に紹介します。
(1)生活科の学習
生きものの学習は,夏から秋への生きものの変化とともに,秋の学習に移行していきます。
例えば,生活科の学習では,春や夏に行った公園や野原の草木の様子が激変していることに子どもたちは驚きます。
まず,簡単に「夏のころとどこが変わったか」を聞き,「木の葉の色が変わった」「みんな緑色だったのが,黄色や赤の葉が混じっている」など,変化の全体像を把握させます。
次に,「では,夏のころとどう変わったか,虫や草木を探してみよう」と呼びかけ,秋の虫や葉を探します。
子どもたちは,
「コオロギを見つけた」
「バッタを見つけた」
「ススキの綿毛を飛ばした」
「ネコジャラシをとった」
「ヒマワリのような花を見つけた」
などと生きものを見つけます。
画用紙に大きく描かせながら,実物の観察をさせます。
虫などは,どんな草に止まっていたか(食べる草)も書いておくとよいでしょう。
草花遊びをしたりして教室に帰った後,描いた絵と春や夏の絵と比べると,季節の変化をはっきり捉えることができます。
(2)5学年の「花のしくみと役割」
この学習は,9月までに終わっている学校が多いことでしょう。
しかし,これから学習する学校は,アサガオやヘチマノの残っている花を実験に使うか,公園や空き地に生えているキクイモ(キクの仲間)を使うとよいと思います。
学級が7~8班に分かれる場合,各班に4個の枝についたままの生きた花を用意します。
2個は他の花の雄しべの花粉を雌しべにつけ,ビニール袋をかけておきます。
他の2個は,つぼみのうちに雄しべは取ってしまい袋をかけておきます。
2~3週間後,果実ができているか確認します。
雄しべを取って雌しべに花粉をつけなかった花には果実はできず,雌しべに花粉をつけた花には果実ができていると思います。
学級全体で各班の結果を出し合い,受粉の働きについて学級としての結論をノートにまとめます。
ここの学習では,さらに,花のしくみや花粉の形などを双眼実態顕微鏡や顕微鏡を使って学習するとよいでしょう。
(3)4学年の「季節と生きもの」
ヘチマやツルレイシはどのように変化したのでしょうか。
花の残りと同時に果実が大きくなり始めていると思います。
ヘチマのめ花の子房の部分が果実に成長することを確認しながら,まだ緑色の果実を横に切ったり縦に切ったりして,果実の中身を記録しながら観察し,果実の中心に種子が規則正しく並んでいることを見ます。
春から一所懸命成長してきた植物が,種子に後を託して短い一生を終わろうとしています。
校庭や公園で他の植物の果実(種子)を探すと,アサガオやヒマワリ,ススキ,エノコログサ,ケヤキやイチョウの果実を見つけることができます。
「種の保存」という目的は同じですが,果実や種子の形質がずいぶん違います。
植物の種類の多様性の一環を,子どもたちに理解させたいものです。(Y・H)