教育研究所
No.316 苦しいときは私の背中をみて(2011年09月27日)
子どもたちは,父母の働く姿や地域の人たちとの関わりを見つめながら,ルールやあいさつの仕方などの社会的なマナーを学び,育っていく。つまり大人の背中を見ながら育っていく。
「試合中,苦しくなったときは私の背中を見て」とは,第6回女子サッカーワールドカップドイツ大会で優勝し,先日,アジア予選を突破して,ロンドンオリンピックの出場が決まった「なでしこジャパン」の主将澤穂希が,北京オリンピックのときに,チームメイトを激励した名言である。
澤選手は,15歳で日本代表となり3度のオリンピックと5度のワールドカップに出場し,18年目にして,世界の頂点に立った。
さらにワールドカップMVPと得点王をも獲得し,チームメイトからは理想のリーダーとして慕われている。
その澤選手が2004年,アテネオリンピックの出場をかけた北朝鮮戦で,右膝半月板損傷のケガを負いながらも,痛み止めの注射をしてフルタイム出場した。
試合終了の笛が鳴るまで走り続ける澤選手の背中を見て,チームメイトは,皆どれだけ勇気づけられ,元気づけられたことかと口をそろえる。
彼女の母は,これまでの澤選手について「娘は,子どものころから口数は少ないが,背中で引っ張るタイプだった」と語っている。
そして,私たちの誰もが,来年開催されるロンドンオリンピックでの澤穂希主将の大活躍の背中を見たいと願っている。
さて家庭とは,家族間の愛情に満ちた絆によって人間形成の基盤を作る場の役割を担っている。
学校は,先生が教師としての自覚をもち子どもたちの生き方に影響を与える背中をみせられる大切な場でもある。
多くの先生が大切な場を構築しその役割を担ってほしいと願うものである。(H・H)