教育研究所
No.302 落葉と落枝(2011年01月12日)
今年の冬は暖かいとはいえ,新年を迎えさすがに,街路や山野の落葉樹は,葉を落として休眠状態に入っています。
かさこそと鳴る落ち葉を踏んで歩いていると,葉についている柄の切り口に小さな印といったらよいか,模様といったらよいのか,とにかく小さな点があることに気付きます。
いくつかの葉の柄をよく見ると点の数は種類によって決まっているようで,ケヤキは3個,サクラ類も3個,クワは多数,プラタナスは5個のグループといった具合です。
ところで,この点は何なのでしょうか。
実は,この点は,葉と枝をつないでいた水と養分を通す管の跡なのです。
落葉する前までは,枝からの水を葉に供給し,葉でできた養分を枝に供給する管であったのです。
また,メタセコイア(あけぼのすぎ)などの下を歩くと,葉のほかに葉が付いていた細い枝も落ちていることに気付きます。
枝が落ちるのですから「落枝(らくし)」といえます。
落葉樹は,自分の身を切るように葉の柄に離層を発達させて葉や枝を落とし,休眠状態に入り冬の寒さから身を守っているようです。
一方,冬でも緑色の葉をつけたカシやクスノキ,マツなどの常緑樹も目立ちますが,冬でも休眠しないのでしょうか。
寒さによって活動は低下するとはいえ休眠せず,光合成や呼吸などの活動を行っています。
それでは,常緑樹は落葉したり落枝したりしないのでしょうか。
常緑樹は年間を通して緑色の葉を付けていますが,いつかは落葉したり落枝したりするのです。
皆さんは,マツの葉が茶色になって落ちているのを見たことがあると思います。
常緑樹も落葉するのです。
いつ落葉するかといいますと,種類によって異なりますが,最も多いのは春に落葉します。
5~6月ごろに,カシやクスノキの下を見ると,落葉し茶色になった葉を見ることができます。
落葉する葉は2~3年経過した葉が多いようです。
春4月に新緑が出ることは,落葉樹と同じですが,この新しい葉は秋に落葉せず,次の年の春か翌年の春に役目を終えて落葉し世代交代をしています。
落葉樹も常緑樹もそれぞれの最も適した方法で,生き残る努力をしていることが分かります。(Y・H)