教育研究所
No.293「人生無近道人生無失望」(2010年08月25日)
今年の全国高校野球選手権大会が甲子園球場で行われ,沖縄県代表の興南高校が優勝し,史上6校目の春夏連覇となりました。
連日の猛暑の中で熱戦が繰り広げられ,高校生たちの溌剌とした全力プレーに,今年も多くの人々が感動させられました。
「山あいの子供たちに1度でいいから大海(甲子園)を見せてやりたかったんじゃ」と,1974年春に「さわやかイレブン」と呼ばれたわずか11人の選手たちを引きつれて準優勝の快挙を遂げ,1982年,1983年の夏・春連覇を果たした徳島県立池田高校。
3回の優勝を飾った監督の蔦文也先生の名言,「人生無近道人生無失望(人生には近道は無く,失望も無い)」である。
「目標を達成するまで,嫌なことも手を抜かずに,コツコツ努力すれば必ず希望が叶う。子供たちは,厳しい練習に耐えてきたからこそ甲子園に出場できたのだ」と語っていたことを思い出します。
先日,私は,都内のある私立高校の校長先生と一緒に同校の野球部の合宿所を訪ねる機会がありました。
その高校は,進学校でもあり,サッカー,野球,ラグビー,テニス,水泳,バレー,バスケット,バドミントン,ダンス,卓球部等の運動部や演劇,吹奏楽,合唱,美術,写真,漫画部等の文化部の部活動が盛んで,「文武両道」を標榜する学校です。
合宿所に着いたとき,宿舎のあるじから「校長先生の学校の野球部の生徒さんたちは,とても礼儀正しく,よく練習をしていますよ。
これからも是非,私どもの宿を利用してください」と言われ,それを聞いた校長先生の嬉しそうな笑顔が印象に残っています。
実戦練習を終えた後も,30度を超える炎天下のグランドの周辺を全力疾走する部員たちに,走り終えた部員たちが,「がんばれ」と声を掛け,互いに励ましあっている姿に頼もしさと微笑ましさを感じました。
部員たちは,先輩,後輩が宿舎で寝食を共にし,厳しい練習に耐え,共に汗をかき,共に涙することを通して,チームワークやがまん強さを身につけ,学校生活とは異なった貴重な教育の姿を体験をしているのだと実感できました。
人は誰でも輝いて生きていきたいと願う。そして,そのための努力を続ける。
訪問した野球部にあっても,一つの目標や目的をもち,不断の練習の積み重ねがあってこそ,生徒たちの技術の向上や豊かな心の涵養につながっているのだと,改めて学んだ猛暑の日の有意義な合宿訪問でした。(H .H)