教育研究所
No.288生徒や親から求められる教師のすがた(2010年06月09日)
各都道府県教育委員会から来年度の教員採用の募集が発表されています。
特に首都圏では,いわゆる団塊世代教員の大量退職のピークを迎え,採用数が増えていますが,教師の資質が課題とされる中で,教育愛に燃えた指導力溢れる教師が求められています。
今春,オリンピックの女子レスリングで連続銀メダルに輝いた伊調千春さんが,故郷青森県の八戸西高等学校の体育科教師として赴任しました。
伊調さんは,「親子げんかや恋愛のことなど,生徒が『あの先生なら』と心を開いて話してくれるような先生になりたい」「生徒には一期一会の大切さや最後の1秒まであきらめないことを教えていきたい」と,教師としての抱負と決意を話されたことが報道されました。
青年期は,希望に満ち,失敗や挫折を繰り返しても屈することなく前向きに挑戦し続け,社会人の基礎を築く大切な時期です。
多くの生徒たちは,勉強や進路に悩みながらも,将来の夢を自分なりに抱き,スポーツや芸術などの文化活動に打ち込み,充実した学校生活を送っています。
一方,最近の傾向として,学習意欲や勤労意欲の低い青少年が増え,自主性や集中力,忍耐力の不足等が大きな課題といわれています。
心と体の成長を育む大切な時期に,指導する教師の役割は非常に重要です。
ある調査によれば,中学生や高校生から求められている教師のすがたは,
・明るく優しく思いやりがあり,時には厳しい,情熱的な先生
・自分の生き方を教えてくれる人間味溢れる,尊敬できる先生
・気軽に話せ,生徒を信じ,相談にのってくれる先生
・教え方が上手でやる気を起こさせ,活動的・意欲的な先生
となり,
親が求めている教師のすがたは,
・楽しく分かりやすい授業ができる,指導力のある先生
・子どもを大事にし,子どもの心を全身で感じとり,共感してくれる先生
・教育者としての自覚をもち魅力ある,人間性豊かな先生
といわれています。
これから教師を目指す人たちは,是非とも伊調先生のように「子どもたちからも,親からも信頼される先生」になることを願っています。(H・H)