教育研究所
No.285 夢をもつということ(2010年04月23日)
春は心浮き立つ季節である。
木々は芽吹き,そして花開く頃である。新聞にもテレビにも,夢いっぱいに新しい門出に胸をふくらませている人たちのニュースが踊っている。
一方で,今の時代は夢をもっていても,それを実現させるのが難しい社会の情勢がある。
若者たちからは
「つぶされてしまいそうだよ!」
「大きな夢なんて最初からもたない方がいいね」
などという不安げな声もたくさん聞こえてくる。
しかし,考えてみよう。
やはり夢をもつことは大切だ。
それがなければ,前には進めない。
夢というと非現実的なあこがれやけたはずれの願いのように響くかもしれないが,そうではないと思う。
言い換えると,夢とは,生きるためのヴィジョンでもあり,だれにとっても大切にしたい必要なものである。
夢やヴィジョンもなしに生きるということは,街灯のない夜道を歩くことだったり,灯台の見えない港を手探りで目指すようなものである。
学校や会社は,組織として機能している。
学校は,教育目標や目的を実現するための,計画やヴィジョンを大切にし,その上で実態を把握し,課題を認識して,目標実現のためのヴィジョンを見直したり,再構築を重ねたりもする。
その目標や目的とは,組織としての夢の実現であろう。
その夢の実現のために何をなすべきか考え,やるべきことを実行し続ける使命を持っているからだ。
私達一人一人の夢の実現についても,「組織の立ち場」と変わりはない。まず自分を見つめ,自分の良さや課題を知る。
そして,自分を鍛え技術を磨き本も読み,まわりには優しくあり,自分を省みて足りないものを身に付ける。
そうすることで,夢はいつの間にか自分の中にできあがる。
真摯に生きることを忘れ,努力を怠りあきらめたとき,夢は,自分の中から遠くに行ってしまう。
夢が遠くに行ったのではなく,自らが夢から遠ざかったのだといえるのだろう。
そして,自分のまわりに目を向けてみよう。
温かい眼差しで応援してくれる肉親や友人たちが必ずいる。
深い悩みなどで助けが欲しい時もあるが,手をさしのべてくれる人たちが必ずいる。
また,そうあってほしい。
どんな場合でも,ためらわずに前向きな意欲を持ちたいものである。
希望の春。
私たち一人一人が夢をもち,第一歩を進めたい。(K・T)