教育研究所
No.282 月の満ち欠け(2010年03月04日)
小学校の新しい理科の内容に6学年の「月と太陽」が入りました。
内容は,「月と太陽の表面の様子の違い」と「月と太陽と自分(地球)との関係と月の形の変化」の2つです。
1番目の内容は,学校と家庭で観察します。
太陽の表面の観察は,直接観察するのは危険ですので写真やDVDやTVなどで,太陽表面の炎や黒点等を観察し,太陽は自ら光や熱を発していることを把握します。
月は直接観察するとよいでしょう。
もし,学校で夜間に観察できるなら望遠鏡や双眼鏡で月の表面の山や谷,クレータなどを観察し,自らは光を発することはなく太陽の表面と大きく異なることを理解します。
夜間の観察が難しい場合は,朝や夕方の月の写真やDVD・TVなどを活用するとよいでしょう。
2番目の内容である月の形の変化は,月と太陽と自分(地球)の関係であることを追究します。
初め,実際の月を観察し,月の形には満月や半月,三日月など様々な形のものがあることを把握します。
日中,学校で観察する場合は,「月の満ち欠けカレンダー」を見て,何月何日ごろの午後はどんな月が見えるか調べておくとよいでしょう。
例えば,「月のカレンダー」によると,今年の3月21~23日頃や4月22~24日頃の午後,東の空に半月に近い月を見ることができます。
子どもたちが感激する満月は,日中見ることができず,3月30日や4月29日,5月30日の午後6時頃に東の方から上ってくるので,家庭で見るように指導します。家庭では,その他満月前後の月を夜見ることができます。
実際に,三日月や半月,満月を観察した後,月がこのように形を変えるのはなぜか考えさせます。
子どもたちは月が自ら光を発することができないので,太陽の光を反射していることや形が変化するのは,月と太陽の位置が関係していることを予想します。
十分話し合い予想をした後,実証するための実験を行います。
バスケットボールやバレーボールを月に見立て,プロジェクター等を太陽に見立てて一方向から光を当て,自分が片手でボールを持ち回転いすに座り,ゆっくり回転しながらボールの光と影の部分の変化を観察します。
すると,ボールが光った部分が,三日月や半月,満月,新月に変化することが観察できます。
子どもたちに何回も観察させ,三日月や半月,満月,新月になる場合の月と太陽と自分(地球)の位置関係を探究させます。
満月や新月ができる場合は,月と太陽と自分(地球)が1直線状に位置している場合であり,半月ができる場合は,自分が月と太陽を結んだ線から垂直の位置にいる場合であることなどを発見します。
いずれの場合も,月が輝いている側に太陽があることを確認します。
この追究の過程は,すべて絵や図,文章で記録させて,体験を経験の位置までレベルアップします。
子どもたちは,これらの関係を明らかにすると大変興奮し,自然の規則性や法則性に感心します。
このような授業は,子どもたちの知識や能力,態度を育てるばかりでなく,自然や科学に興味を持ち,しかも心情豊かな子どもが育つことと思います。(Y・H)