教育研究所
No.279 真冬の庭で(2010年01月20日)
新しい年を迎えた真冬の庭を眺めながら,小さな発見にぬくもりを感じているこの頃である。
その1:「どんぐりころころ」
直径40cmくらいの甕の中に,団栗がたくさん入っている。
3歳の孫に聞いてみると
「団栗ころころ団栗子,お池にはまってさあ大変,ドジョウが出てきてこんにちは,坊ちゃん一緒に遊びましょう~」
と歌って,「仲良しにしてあげたんだよ。」と。
その2:「一輪のスミレ」
スミレは春ときまっているように思えるが,冷たい風のこない陽だまりに置けば,紫の花を一輪,可憐に咲かせる。
小さな花だけに,可愛いものである。
「ほら,スミレが咲いているよ。」
「本当だ。かわいいね。」
となる。
その3:「老鳥の介護」
我が家には,東京都立多摩教育研究所で平成9年6月に生まれたカルガモのガーがいる。
もう超高齢で,足が不自由になり,やっと水浴びができ,やっと餌場にいける状態である。
ミミズが好物なので,孫とあちらこちらを掘り返し,与えている。
トウモロコシなどの粒ものが苦手になってきたので,金槌で小さく砕いて食べやすくしている。
自然のままにしてあげたらと家族(野鳥の本にもそう書いてあった)から言われるが,ほっておくことができず介護を続けている。
その4:「仲よしこよし」
冬になると,山に食べ物が少なくなり,スズメ,モズ,ヤマバト,オナガ,ヒヨドリ,メジロ,シジュウカラなどがえさを求めて庭にやってくる。
我が家は,人間が食べるだけで精一杯なので,林檎の芯や煎餅の粉,台所の残飯程度しか提供できない。
それでも,毎日せっせとやってくる。
どの鳥もそれなりにかわいいのであるが,メジロとスズメが来るとほっとする。
何故か,仲よしで,一緒についばんだり,それぞれの好物を干渉することなく食べたりしているからである。
その5:「猫のアビ君」
平成11年に台東区立根岸小学校に持ち込まれたアビシニアンのアビ君も相当な高齢である。
猫のくせに,魚に見向きもせず,肉には一切手(口)をつけず,ペットフードに徹している頑固者である。
ただし,小さいときの記憶があり,缶詰を開ける音がすると,ぴんと耳を立てる。
時々与えるとぺロッと食べ尽くし,ゴロンと昼寝をしている。
老妻になついていて,庭に出ていても「アビちゃん!」と声をかけると,一目散に飛んできて膝に乗り甘える。
私が呼んでも,小さな声でけだるそうに一応の返事はするが。
その6:「穴だらけ」
5歳の孫と3歳の孫は,それぞれ自分用のスコップを所持し,日曜日などは真っ黒になって庭のあちらこちらに大きな穴を掘っている。
ときには,この寒さなのに,穴に水を入れて遊んでいる。
そのうち,ドボンとはまって,ビショぬれになって洗濯物を生産している。
こんなあんなと小さなことが毎日次々と起こる庭は,私にとって癒しの場である。
世界の人々の平和と幸福が気になるが,私のささやかな平和と幸せもずっと続いて欲しいと願っている。(H・K)