教育研究所
No.273秋の果実の観察(2009年10月21日)
秋は深まり,北海道や東北地方では紅葉は山をかけ降りて麓で錦秋を飾っていると聞きます。
関東地方でも栃木県や群馬県の山頂付近のお祭りは終わりつつあって,楽しみは徐々に中腹や山麓に移りつつあるようです。
東京では11月末まで楽しめますが,最近は12月に入っても紅葉が残っていることがあります。
校庭に目を向けると,見慣れた木々は色づき始め,キクのように開花しているものもありますが,多くは枯れ始めています。
気温や地温,日照時間などに規則正しく反応する植物の営みに感心します。
この時期にのみ発見できる自然の営みがありますので,子どもたちと注意深く観察したいものです。
観察の対象を探すと,紅葉している葉や赤や黄色,黒色の果実,果実が割れて出てくる種子,秋咲きの花などが見られます。
今回は,花の後の果実(実)を観察してみましょう。
見る視点は,草花の実は種類によって様々なしくみの違いがあるが,どの実の中にも種子(種)が入っていて,その種が命をつないでいることを理解しましょう。
○アサガオの実はいくつの部屋?
アサガオの青い実を横に切ってみましょう。
実は3室からできていて,1室に2個ずつ6個の種があることが分かります。
しかし,養分の関係で4個や5個のものもあります。
実や種の様子を画用紙に描いて残しておきましょう。
○ヒマワリの実は何個?
ヒマワリの実の数を数えてみましょう。
1個の大きな花から1,000個以上の実が取れることがあります。
大きな花の周辺のよく目立つ花は昆虫を呼ぶ花であり実を作りません。
大きな花の真ん中にある小さな花が実を作り,実の薄い皮をむくと種が出てきます。
○オシロイバナの種で「お化粧」?
オシロイバナのがくに包まれている黒い実を取り,皮をむくと白い種がでてきます。
白い種の中味は「胚乳」ですが,昔の子どもたちは白い「胚乳」をおしろいに見立てて鼻筋にぬって遊んだが,試してみてはいかがですか。
○ホウセンカは「釣船草」?
ホウセンカの実が実るころ,葉の腋を見ると楕円形の毛の多い実がついています。
この実をそっと触ると,実の皮が突然巻き上がり,種が飛び出します。
子どもたちにこの愉快な体験をさせてみたいものです。
ところで,ホウセンカの花を思い出してください。
花は確か葉の下に下がっていました。
あの下がっている花のようすは,野にあるツリフネソウにそっくりです。
○ヘチマの実
大きなヘチマの実を縦に切ってみましょう。
4つの部屋に別れていて,それぞれの部屋に多くの黒い種が並んでいます。
花のときはこのヘチマの実全体が小さな花の一部の子房だったのですから,4~5ヶ月で大きくなったものです。
以上,5種類の実と種を観察しましたが,大切なことは植物(種子葉植物)の実や種は種類によって形や色や構造が違いますが,子孫を残すために雌の卵は雄の花粉を受精し,果実や種子をつくるしくみは共通であることを見つけることにあります。
今,まさによい時期ですから気楽に校庭に出て,観察してみてください。(Y・H)