教育研究所
No.268夏休みの自由研究(2009年08月05日)
「夏休みの自由研究」は,古くて新しい課題です。
私の子どものころ,宿題として提出が義務付けられた場合は気が重かったものですが,義務のないまさに自由な研究でよい場合は,気ままに取り組めて楽しい思い出になっています。
家のうちわを4枚集めて,輪切りにした丸太に釘で打ち付け,丸太を回転するようにした「手動式扇風機」を提出したことがありましたが,級友が3~4回使用しただけで解体してしまうお粗末さでした。
また,夏休みも終わりごろになって,あわてて自宅に近い海岸の植物を25~30種集めて,厚紙に張り付けて提出した際は,たまたま説明することを求められ,種名が分からず脂汗を流したことが懐かしく思い出されます。
ハマボッスやシシキリガヤなどは,子どもの手に負えなく難しかったのでしょう。
夏には首都圏を中心にして,小・中学生向けの理科や環境問題に関する研究の様々なコンクールが作品を募集しています。
発明協会や毎日新聞,東京電力,ベネッセ,農業新聞社,教育出版教育研究所など多様であり,また,主催者の個性がにじみでます。
農業新聞社のバケツで稲を育てるコンクールは,自宅の片隅に一人で手軽にできる研究と言えます。
軽い気持ちで始めることが,成功のコツであると思います。
しかし,研究を始めるといっても,方法がよく分からないという声をよく聞きます
。あまり難しく考えずに,ここでは3つのヒントを示します。
1つは,「○○と△△を比較」する方法です。
「アサガオとヒルガオを比べよう」「カブトムシとクワガタを比べよう」という研究です。
この内容なら誰でもできます。
1年生でも6年生でもアサガオとヒルガオの花を目の前に置き,画用紙に大きく詳細に描きます。
がく,花びら,おしべ(葯と花粉),めしべ(子房)を詳しく見て描きます。
その上で,違いを表にして文章化します。
次に,共通点を観察して文章化します。
さらに,研究の幅を広げるためにアサガオによく似た花を探します。
チョウセンアサガオやユウガオを見つけることができたら,やはり違いと共通点を描き記録します。
2つ目は,「○○と△△の関係」を調べる研究です。
例えば,ジュース缶の中の水の温まり方と缶の色は関係あるのだろうかという問題です。
水の量や太陽の光の当て方や時間は一定にして,缶の色を白,黒,赤,緑,灰色などにして実験します。
水の温まり方と缶の色の関係があるかどうか,明らかになることと思います。
さらに,水の量を変えたり缶の大きさを変えたりすると,さらに研究が深まります。
また,この色の件は日常生活でも活用されていることを考えると,研究は広がります。
3つ目は,「時間による○○の変化」を調べる研究です。
例えば,太陽,月,星が時間とともにどのように動き変化するかという問題が考えられます。
第1番目の問題は,太陽,月,星が1日でどのように動くか。
2番目の問題は,1ヶ月でどのように動き,変化するか。
3番目の問題は,1年間ではどのように動き,変化するかという問題が考えられます。
この問題は,長期間であり指導者が必要ですが,実際の観察の結果からいろいろ考えると,興味深い結果が明らかになることが期待できます。
夏休みに入っている子どもたちの自由研究のヒントになれば幸いです。(Y・H)