教育研究所
No.265 4学年理科「人の体のつくり」の学習(2009年06月24日)
新学習指導要領小学校理科のB区分「生命」の4学年の内容に,6学年の「人体」の学習内容の一部が移行されました。
その内容は,人や他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして,骨や筋肉の動きを調べ,人の体のつくりと運動とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア.人の体には,骨と筋肉があること。
イ.人が体を動かすことができるのは,骨,筋肉の働きによること。
〈 学習の流れ 〉
4年「人体」は7~8時間をかけて指導することになります。
子どもたちに身に付ける知識や理解については上の文章のとおりですが,科学的な能力や態度も重視して指導する必要があります。
学習の流れは,次のように構成するとよいでしょう。
(1)自分の腕や手首の関節と周辺の筋肉を触って,関節のしくみと筋肉の膨らみ方やちぢみ方を正確に把握します。
これは,目に見えない内側のことを外部から見たり操作したりして,内部の事実をできるだけ正確に把握する能力を育成します。
見たり触ったりして得た情報は,ノートやワークシートに記録させます。
この能力は,高学年や中学校では,分析する力や推論する力としてさらに伸長させます。
(2)しかし,内部は見えないので子どもたちは正確に事実を把握していません。
そこで次に,何らかの方法で目に見えるようにして,事実を把握する必要があります。
つまり,事実であることを実証する必要があります。
腕を解剖して見るわけには行きませんから,骨格標本やレントゲン写真,骨格図などを調べて,上腕と下腕と関節及び筋肉について事実を明らかにします。
そして,先の外部からの観察図と比較して,腕の仕組みと働きを理解します。
ここでは,推論したことをどのようにして実証するか,科学的に実証する方法を育てます。
(3)次に,角材やゴムなどで腕の模型を作って,腕を再現することによって,動く仕組みと働きについて理解し,人体のしくみの精巧さに気付きます。
(4)最後に,腕以外の膝や足首や首などの動く仕組みと働きについて調べます。
しかし,指などの仕組みと働きは複雑なので,深入りするのは避けたほうがようでしょう。
子どもたちは,自分自身の体の仕組みや働きを調べるので,興味をもって学習すると思います。
〈 教材・教具 〉
・骨格標本,骨格図,レントゲン写真など
・角材(1cm角,1班に1m),ゴム(太さ3mm,長さ80cm),ステップル,釘,セロテープ
・ノート,またはワークシート(Y・H)