教育研究所
No.261ぬくもりのある評価(2009年04月22日)
新しい学習指導要領に基づく教育に向けて,移行措置が始まった。
移行措置は,単なる調整ではない。
教科書等が万全でなく,あれこれ教師は苦労するが,子どもにとっては,実質,新教育課程の全面実施であると認識したい。
それよりも,大切なことは,生きる力の中身としての
「1.質の高い学力,
2.豊な心,
3.健やかな体」
のそれぞれについて,その構成要素を明らかにし,我が校として重点化の味付けをして,子ども一人一人に質の高い教育を保障する教育活動を展開することである。
ところで,21世紀初頭は,次のように,評価の時代であると考えられる。
○学習評価への目標準拠評価(絶対評価)
○人事考課(教師の業績評価)
○学校の自己評価,外部評価(学校関係者評価),第三者評価
○学校経営への数値目標の設定と達成度評価,成果主義
○学力調査の実施と学力向上策
○授業(教師)の児童・生徒評価,保護者や地域住民等の評価
○●授業の中の指導と評価と支援の一体化
○●良さ,進歩,努力など肯定的評価
○学力調査など各種調査等々
このような中で,ややもすると,学校や教室の中も社会も,欠点探しの評価になっていないかと心配している。
学校は,よいところを探して,みんなで確認し,それを継続し,我が校の伝統としていくことが,イの一番に必要である。
これをするかしないか,また,後回しにしていたのでは,学校は自信をなくし,批判と苦情の対象になり続けることになる。
次に,課題(問題点)を探し,原因を特定し,解決策を策定し,果敢に実行していくことである。
それから,難しいことではあるが,無駄や無理などを廃止して,減量することである。
社会(及び家庭や地域)の「不具合いと不足」を押し付けられ破裂しそうになっていることを,そろそろ真剣に考えるべき時期にきている。
とは言うものの,学校は,「質の高い教育を保障するために必要なことは,新しく,大胆に導入すべき」である。
その一つが,授業の中に温もりのある評価を取り入れることである。
評価と聞けば,
「わかった・わからない,できる・できない」
等で,子どもを値踏みしたり,区分けをしたりすることだと誤解している教師・校長も少なくない。
授業の中では,課題(問題)に対する子どもの学習活動の状況や反応を明確に捉え,全ての子どもをそれぞれに高める,「ぬくもりのある評価」即ち
『●指導と評価と支援の一体化』と
「●肯定的評価」を推進したい。
私たちの周りの教師の多くは,教材研究に熱心なうえ,指導力に優れた人材が少なくない。
それだけに,ぬくもりのある評価を授業の中に取り入れることにより,子どもに自信をつけ,学習したことが活用できるようにして欲しいと強く願うのである。(H.K)