教育研究所
No.260 まじめな生徒が下を向いて歩いているようでは(2009年04月07日)
春の訪れとともに,学校は,夢と希望を胸に抱いた入学生を迎え,活気に満ち溢れた教育活動をスタートしたことと思います。
新入生の皆さんが,新しいクラスの友だちや先輩たちに囲まれて,勉強や部活動を通して明るく楽しい,充実した学校生活を送ることを願っています。
昨年,神奈川県のある高等学校の入学試験の際,学力テストなどでの点数では合格圏内だった受験生を,服装や態度を理由に不合格にしたことが新聞等で報じられました。
その学校は,以前,問題行動を起こす生徒や中途退学者が多く,いわゆる教育困難校であり,当時の校長先生と教頭先生が,「まじめな生徒が下を向いて歩いているようではいけない」と,学校の建て直しに取り組み,今日では,地域の人々や保護者からも評価され,改革が軌道に乗り始めている矢先のことであったとのことでした。
先日,高校生の娘さんを持つお父さんから
「今,学校から停学処分を受けているが,学校をやめさせたほうがよいでしょうか」
と相談を受けました。
「どのような問題行動をしたのですか」
とたずねると,
「髪の毛を染めたり,授業をさぼったりしたので,校長先生から1週間の停学を言い渡された。」
とのことでした。
私は,
「娘さんは,学校へは行きたいのですか?」
と聞くと
「学校生活は続けたい」
と答えが返ってきました。
私は即座に,
「それならば,今までの学校生活をしっかり反省し,頭髪等をきちんと直して,心機一転,学校を続けさせればいいですよ。」
と,父親に話をしました。
服装や頭髪については,「個性の表われである」「外見で判断するのはよくない」等々,さまざまな意見があります。
最近は,この様な学校の指導に対してだけではなく,親や子どもの学校や教師に対する身勝手な意見や理不尽な要求や苦情等を多く耳にします。
私は,子どもとともに悩み,子どもと真剣に向き合ったこの父親の娘さんに対する厳しさと思いやりの深さと,学校に対する配慮は大変素晴らしいと感じました。
中学校を卒業後,ほとんどの生徒が高等学校への進学する状況の中で,多様化する高校生を受け入れどのように指導していくかは,学校としての大きな課題です。
また,学校は,地域や生徒の実態に応じ,地域の人々の協力を得ながら,地域や家庭との連携を深め,特色ある学校づくりを進めていくことが求められています。
時代や社会の要請に応えるとともに,卒業生は勿論,保護者や地域の人々から期待され,生徒たちが誇りを持ち,胸を張って通学できる学校でありたいと願っています。(H.H)