教育研究所
No.258 冬芽を切って観察しよう(2009年03月04日)
関東地方では,今年は,2月下旬から気温が15度℃を超える日と7℃ぐらいの日が交互にやってきました。
圧倒的な大陸の冬将軍(高気圧)に対抗して,早くも太平洋の高気圧が日本をうかがっているようです。
春近しの雰囲気になり,草木が少しずつ動き始めてきました。
学校は,年度末の忙しい時期ですが,自然の移ろいなど,この時期しか見られない貴重なものがあります。
それは冬芽の展開です。
生活科や3~5学年の理科の学習,総合的な時間の学習として,ぜひ子どもたちに観察させたいものです。
校庭には,すでにツバキやサザンカが咲いていますが,花の近くにはまだ開いていないつぼみがあります。
大きなつぼみは花のつぼみで,小さなつぼみは葉のつぼみです。
観察は花のつぼみを2~3日に1回ずつ見ていますと,やがてふくらみ始めて開花します。
できたら,もったいないのですが学習のために,代表の花芽を1個とり小刀かカッターナイフで縦に切ってみてください。
外見と異なり色鮮やかな世界があります。
例えば,ツバキの場合は,真ん中に黄色の雄しべが鮮やかに10個ほどあって,その周りに赤い花びらがたたまれてあり,外側を鮮緑色の冬芽のりん片がおおっています。
セピア色の冬枯れの校庭では,色が大変鮮やかで鮮明です。
校庭の日陰に植えられている高さ1.5mぐらいのアオキには,枝の先に大きな楕円形の冬芽が着いています。
ツバキのように小刀で縦に切ってみると,ツバキと違って赤色や黄色の鮮やかな色彩が少なく,緑色が中心です。
しかも,ツバキのように1つの花ではなく,小さな枝らしきものに小さな球形のものが20個以上着いています。
同じ冬芽なのに様子がずいぶん異なります。
実は,ツバキやサザンカの花の芽は1つの花を含んでいますが,アオキの冬芽は,花と葉とその両者を着ける枝も含んでいるのです。
そのため,アオキの冬芽は他の冬芽に比べて大きいのです。
花と葉の両方を含む芽を混芽(こんが)といいます。
ツバキは花芽が開いた後に,葉の芽が開きます。
アオキは混芽ですから3月末か4月初めに,花と葉が同時に展開し,幼い鮮緑色の葉と小豆色の花が開きます。
校庭のどのような種類の木の冬芽であっても,新しい新鮮な発見があります。
子どもたちに採取させ教室でゆっくり切ってみてください。
どれが花の芽か葉の芽か混芽かを見つけてください。
そして,その鮮やかな世界を楽しみ,やがて芽が展開するまで観察してください。
子どもたちの観察眼は鋭くなり,自然への興味はさらに増すことでしょう。(Y・H)