教育研究所
No.257 「ときめく心をもつ」ということ(2009年02月18日)
今年も,立春が過ぎた。
本来,人は誰もが力強く生き,誰かに役立つ生き方をしたいと願っている。
そのような中で,近頃のニュースには,人間としてしてはならない,つらく悲しいものがあまりにも多い。
私は,こんな報道に接したとき,「ひどい」「許せない」「何とかしなければ」などと,全身から義憤が湧き出てくるのが常である。
しかし,人はある時,様々なことが起因して心の中に異変が起こり,自信がもてず元気を失うことがある。
「困ったな」「どうすればいいのだろう」と,自己を見失ったり,頭を抱えてしまったり,行動する活力や意欲が沸き立たなくなってしまう。
では,そのような場合,「自分に自信を取り戻す」ためには,どうすればいいのだろうか。
私の手立ての一つは,自分のこれまでの経験を振り返り,
「相手からよろこばれたこと」
「他の人のために役だったこと」
「自分でがんばれたことや成功したこと」
など,前向きな行動や生き方を思い出すことにしている。
そして,自己を冷静に,謙虚に見つめ,「今,何をなすべきか」を考えて,多くの人の言葉に耳を傾け,語り合うことが大切であろうと考えている。
そして,簡単にはいかないが,心がときめくような対象や行動に出合えれば,より一層自分に自信がもてることなる。
自分で自分を褒められる生き方を発見し,ときめきの対象に積極的に挑戦する機会とそれに巡り合うための意欲が大切なことなのだと思っている。
また,自信を取り戻すためのもう一つの考え方として,今自分が対峙していることに対し,いい意味の緊張感の中で納得できる準備をするということだろう。
いい加減な準備では,不安がついて回る。
人は,自信がもてたとき,いつもより大きな力を発揮する。
自分にこんな力があったのかと思うこともあるほどだ。
私は教師としての経験から,多くの教え子たちが,ちょっとしたきっかけで大きなときめきの心から自信をもち,そのとたんに,目を見張るような飛躍をしたり,大きな成長をした場面にたくさん接してきた。
そして,その時の「成功体験」が源となり,成人の後にも勇気を喚起し,人としての自信や成功した姿にも数多く出会ってきた。
自信を失ったときには,過去の失敗やうまくいかなかったことばかりを思い出してしまいがちだが,その苦難や悲しみを乗り越えてこそ,人間としての深みや謙虚さが醸し出されるのだろう。
今の私は,齢のせいであろうか,少し元気が出ずにいる。
しかし,ときめく心をもつということを肝に銘じ,これからの日々の事柄に対して意欲的な挑戦をしようと思っている。
今年も春一番が吹いた。
桜の芽吹きも近い,三寒四温を経て,これからどんどん暖かくなるのだから。(K・T)