教育研究所
No.254 チャレンジスクール(東京都)への挑戦(2009年01月07日)
明けましておめでとうございます。
受験生をもつ家族の皆様や先生方にとっては,入学試験が終わるまでは,お正月気分も一時お預けのことでしょう。
新たな目標に向かってスタートされた皆様にとりまして,良い年でありますようお祈りいたします。
小学校5年生の頃から不登校が続いている都内の中学3年生の子どもの父親から,
「子どもが高校へ行きたいとやる気になっているが,入れる学校はあるでしょうか」
と相談を受けたときに,私は,東京都立高校のチャレンジスクールを紹介した。
中学卒業生の高校への進学率はおよそ98%に達し,高校教育の多様化が進む中で,東京都では,小・中学校で不登校を経験した生徒やこれまで能力や適性を十分生かしきれなかった生徒が,自分の目標を見つけ,それに向かってチャレンジする学校を6校開校している。
専任のスクールカウンセラーを配置するなど,相談機能の充実を図り,心のケアに配慮したきめ細かな指導を行っている。
自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて,午前・午後・夜間の各時間帯(部)を選んで入学する三部制の定時制単位制総合学科高校で,チャレンジスクールと呼んでいる。
チャレンジスクールの入試方法は,学力検査や中学の調査書によらず,志願申告書(志望した理由,入学後の抱負,自己PRなどを書いたもの),作文,面接の総合成績で入学を認めているので,毎年応募者が増えている。
その父親が,子どもにチャレンジスクールのことを話すと,早速,母親と一緒に学校を見学に行き,すっかり気に入り,進学に向けて,作文の練習や国語・数学・英語の教科書を開くなど,今まで以上に目を輝かせて勉強し始めたと,嬉しそうに私に話をしてくれた。
子どもが新たな目標を見つけて,その目標に向かってを行動し始めたときには,これまで秘めていたエネルギーを発揮する力は,2倍も3倍にもなる。がんばろうとしている子どもの姿が,わが瞼に浮かぶ。
そして,この子どもが志望するチャレンジスクールに合格し,新しい年がこの家族にとっての新たな出発の年となることを心より願うものである。(H・H)