教育研究所
No.248 自分探し(2008年10月01日)
ある外食チェーンの会社は,会社説明会で,
「この会社で一緒に働きたい人は?」
とたずね,その時すぐさまに手を上げた3人の学生を,選考試験なしで内定したとのことです。
その会社では,やる気のある人を採用して,会社で育てていく方針であるとのことでした。
また,ある大手新聞社の採用試験に,有名国立大学から13名応募者があり,最終面接まで残った人は,一人だけで,その人も結局不合格であったとのことでした。
今日,会社側が求めているのは,国際化社会の一員としてのコミュニケーション能力,実行力,考え抜く力,創造力,チームで働く力であり,主体性,積極性です。
どこの大学を卒業したかではなく,大学で何を学び,何を身につけたかが,問われる時代です。
十分な知識だけではなく,その知識を活用する力,応用する力が必要なのです。
文部科学省の調査によると,平成20年3月の大学卒業者数(55万5千人)の就職率は約70%で,進学も就職もしていない者は,6万人で,10.8%にも上ります。
まだ充分ではありませんが,昨年度から大手の企業を中心に,雇用環境が好転してきている状況なのですが。
就職浪人をしている中には,
「自分のやってみたい仕事がわからない」
「自分のしたい仕事がみつからない」
という若者も多いとのことです。
確かに,自分の興味や関心のある仕事や自分が好きな仕事をすることは,大切です。
自分のやりたい仕事を見つけた人の多くは,予想以上の力を発揮し,働くことの喜びや生きがいを感じています。
しかし,保護者や教師の立場からすると,学校を卒業したら,まず,社会的に自立するためにも,就職して,自分を磨いていって欲しいと願っています。
キャリア教育の必要性が求められていますが,子どもの頃から,家庭や学校が,子どもたちに,職業に対する意識や勤労意欲を身につけさせていくことが重要です。
そのためには,子どもの優れた持ち味を見出し,それを伸ばす機会を用意したり,自分探しの機会を用意してあげることが大切です。
子どもたちが,自分の良さに気づき,「働きがい,生きがい」について考え,社会人・職業人として自立人としていくことができるようはぐくんでいきたいものです。(H・H)