教育研究所
No.243 授業が変るか(2008年07月23日)
平成20年1月17日に中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」が出されました。
それに基づいて,3月28日に新しい学習指導要領が告示されました。
そして,6月18日に新教育課程への移行に関する通知が出されました。
学校では,平成20年度に新学習指導要領の趣旨や内容の理解を徹底し,小学校では平成21・22年度に新教育課程へ移行して23年度が全面実施となります。
中学校ではさらに23年度までに移行し24年度全面実施です。
教育改革はこれまで制度等の面で進められてきましたが,いよいよ学校現場での実践の局面に入りました。
ところで,これまでの教育改革や学習指導要領の改訂の度に言われていることがあります。
それは,「改革も新学習指導要領も学校の門まで,せいぜい校長室までで,教室には届かない」ということです。
すなわち,授業が変わらない,教師が変わらないということです。
もちろん,改訂される学習指導要領の趣旨を理解しそれを具現する教師もいます。
しかし,「大勢は変わってはいない」ということでしょう。
今回はどうでしょうか。
「生きる力」の理念を継続し,その実現のために学習指導要領を変えるとしています。
特に,基礎的・基本的な知識・技能の習得,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力などの能力の育成,教科で習得した知識・技能や活用する力を総合的な学習の時間での探究学習に生かすといった,「習得・活用・探究のサイクル」を実現する授業が求められています。
また,思考力,判断力,表現力などの能力を高めるなどのため「言語活動の充実」が求められています。
国語での学習経験を生かして教科等でも積極的に言語活動を生かすことが期待されています。
さらに個に応じた指導の一層の充実,問題解決的な学習や体験的な学習の充実,学習の見通しや振り返りの指導の計画的な取り入れなど,教師の創意工夫を求めています。
理数教育では内容の追加があり,これらの指導の工夫も必要です。
このように,これからの移行期間に授業研究をしっかりとやって,子どもたち一人ひとりに確かな学力を身に付けさせることができるでしょうか。これらのことは,今後の学校の在り方,教育課程のマネジメント,学校の組織力が問われる課題です。
教師一人ひとりが力量を高め,教育改革が教室でしっかりと実践されているという評価を得なければ,学校への信頼は益々失われることになるでしょう。
学校を挙げて取り組むべき重要な課題です。(C・T)