教育研究所
No.242 「ケータイ」について考える(2008年07月09日)
朝夕の通勤電車の中で,大人から中・高校生までがケータイを片手にメールやゲームに熱中しています。
違和感をおぼえるのは,私だけではないと思います。
インターネットやケータイの普及は目覚ましく,私たちの日常生活に大きな利便をもたらしています。
その反面,出会い系サイトなど有害な情報の氾濫により,ネット社会の危険に無防備な子どもたちが,犯罪やトラブルに巻き込まれることが多くなっています。
また,子どもたちの世界では,ケータイのネット掲示板やブログで相手を中傷したり,嫌がらせなどで不幸な事態を招いてしまったニュースを数多く見聞きします。
先日,教育再生懇談会が,「子どもを有害情報から守るためには,必要ない限り,小・中学生にケータイを持たせない」との提言があり大きな話題となりました。
今から10年前,高校生がケータイを持ち始めた頃のことです。
都内のある中学校と高等学校の合同の保護者懇談会でのことでした。
中学校の母親から高等学校の母親に,「子どもにケータイを持たせることの是非」について質問がありました。
「ケータイに夢中になって,勉強しなくなった」
「ケータイを持たせるとお金もかかる。
親の立場からいっても子どもにケータイを持たせる必要はない」
との断定的な意見がほとんどだったことを思い出します。
また,先日のネットエイジアの調査では,高校生のケータイ使用料の月額平均は,7,520円であり,3万円を超える場合もあるようです。
親の負担としては,少ない額ではありません。
特に最近は,有害情報の受発信やいじめの温床として,いわゆる「学校裏サイト」が大きな問題になっています。
群馬大学の下田教授によると,子どもにインターネット機能付きのケータイの所持を認めているのは,日本だけだとのことです。
学校と家庭が連携をして,インターネットやケータイの有害な情報源,メールによるいじめ対応について,より真剣に取り組まなければなりません。
その上で,保護者は子どもにケータイを持たせる前に機能だけでなく子どもが利用するだろう情報源についての認識を深め,不幸な出来事の防止に努めなければなりません。
10年前の保護者の意見と同じように,「子どもにケータイを持たせる必要はないとの主張」を,古い考えだと切り捨てることに異論があるのは私だけではないと思いますが,皆様はどう考えますか。(H・H)