教育研究所
No.236あいさつ(2008年03月18日)
朝,子どもたちは家を出るときに「行ってきます」とあいさつして出て
いるのでしょうか。
登校途中や登校班で先生や友達,近所の人などに出会ったときに,「お早うございます」とあいさつしているでしょうか。
学校に着いたとき,教室に入るとき,「お早うございます」とあいさつしてい
るでしょうか。
皆さんの教室ではどうでしょうか。明るく元気なあいさつが飛び交っているでしょうか。
ある校長先生は,赴任した学校の子どもたちが登校時にあいさつできないのに驚いたと言います。
それでこちらから声をかけると,小さなか細い声であいさつが返ってきたそうです。
では,教職員はというと,やはり元気のよいあいさつは少なく,黙っている教員もいたのでびっくりしたとのこと。
当然ながら子どもにあいさつの声をかける教員も少ない。
そればかりか,
「子どもたちがあいさつしない」
と怒っている教員がいたとのこと。
さっそく,あいさつ運動をはじめたそうです。
「あいさつしよう」と声をかけるのではなく,「お早うございます」と声をかけるだけです。
しばらくすると,自分から元気なあいさつをする子どもが増えてきました。
そこで初めて全校朝会で「あいさつが元気に交わせて気持ちがよい。
みんなの明るいあいさつで一日の元気がでてくる」という話をしました。
するとまた,あいさつをする子どもが増えました。
要するに,あいさつをする習慣が身についていなかったのです。
それが分かっているのに指導していなかったのです。
あいさつは強要するものではないと言います。
確かにそうでしょう。
しかし,人間関係の中で,あいさつはコミュニケーションの基本,出発点でしょう。
あいさつできないだけで会社を辞めることになった話さえ聞きます。
強要はしなくても指導はできます。
その指導とは,教師が「お早う」と元気な声をかけ続ければいいのです。
何日かすれば,必ず「お早う」が飛んできます。
なかには,遠くから飛んできて驚かされることもあります。
かの校長先生は,休みの日の出掛け先で,駅の向かい側のホームから
「〇〇校長先生,こんにちわ」
と大きな声をかけられびっくりしましたが,うれしくて,思わず手を振りながら大きな声で
「やあ,こんにちわ」
と返したそうです。
朝のあいさつ「おはよう」は,「元気ですか,今日もよろしく」という人間関係の入口の交流でしょう。
「さようなら」は,「今日もありがとう,またあしたもよろしくね」の出口の交流でしょう。
子どもたちは,先生のあいさつの声から,そのようなことを体感しているのではないでしょうか。(C.T)