教育研究所
No.234笑われたこと(2008年02月15日)
ずっと前,1975年頃,ある市のある小学校の校内研究会の出来事だった。
「子どもの欠点を指摘して,指導し,直すことも大事である。
しかし,それだけだと子どもは消極的になり自信を失う。
もう少し,その子のよいところを見つけ,知らせ,誉め,自信を持たせるようにしたらどうか…」
と話したところ,殆ど全員の先生方が笑い出した。
研究会の終了後,校長先生からも
「…悪いところを直し,正しい道に導くのが教育だから…」
と,重ねて諭されたことを今でも鮮明に覚えている。
これは昨年のことである。
ある県の会議でのこと,学校評価に関連して「学校評価というと欠点探しをして,そのことの改善にばかり目が行くが,もっと我々は自分達のしていることに自信を持つべきだと思う。
そのために,
1.先ず,よい点を明確にしてそれをより良く次年度の継続していく。
2.課題を見つけ,その原因(要因)を探り,改善策を立て実行する。
3.無理や無駄を見つけ,廃止していく。
4.不足や補ったほうがよいことがあれば,大胆に新規導入していくべきである…
と発言したら,会議のメンバーである一人の校長先生が思わず吹き出してしまった。
「そんなことをすることは,学校評価ではない。
…我が校は,○○指定を受けて学校評価を実施して…」
と,思わず視線が合ったその目が語っているかのようだった。
つい最近のこと,学力調査の結果をどう活用したらよいかについて,何人かで話し合っていたときのことである。
M校長先生が,地域の会合で学力調査の結果が話題になった折,
「…何とも申し訳ない。
本校の6年生の結果は,○○で,芳しくなかった。
今後は学校として授業を見直してがんばります…」
と話した。
ところが地域の人たちは,
「校長先生,それほど気にすることはありませんよ。
この学校の子どもは,昔からテストには弱かった。
でも,卒業は,大人になって皆,真面目に生きているし,いい仕事をしているよ。
これからも,そういうことを頼みますよ…」
と言われた,ということを紹介した。
このときも同席校長先生から大笑いをされた。
「世の中が,平均点で一喜一憂ながら,どうしたらよいかを懸命になり対策を考えているとき,そんなのん気なことを言っている場合ではない」,
ということであろう。
そんなに苦笑いされることなのか,私は今だに分からない。
2008年は教育改革が,学校で具体的に実施されるスタートの年である。
笑われないようにするのではなく,苦笑いの意味が明確に分かるまで,今年も笑われ続けようと思っている次第である。(H・K)