教育研究所
No.229「水と綿とパン」(2007年11月29日)
「世界のどこかで平和を売っていたら,私の国のために買いたい」。
6年前,アフガニスタンの首都カブールの少女が語った願いです。
この願いを聞いたとき私は,胸を強くうたれ,この少女のためにも,買えるものなら「平和」を買ってあげたいと思ったことが,今でも忘れられません。
当時,アフガニスタンに暫定政権ができ,平和に向けて協議が始まったと報道されていましたが,現在もなお,テロが多発し,内戦状態が続いています。
アフガニスタンの支援活動のあり方について,我が国の国会でも取り上げられ議論されていますが,今も干ばつが続き,国土の砂漠化が進み,食料不足問題が深刻化しているようです。
そのアフガニスタンの北側にウズベキスタンという国があります。
先日,私は,日本の大学で勉強している留学生との交歓会で,日本の高校生たちといっしょに,ウズベキスタンから来ている留学生から話を聞く機会がありました。
その留学生は,日本の平和と豊かな生活についての感想を述べた後,高校生たちに
「日本人にとって大切なものを,3つあげてください」
と問いかけました。
高校生たちは,
「日本人にとって大切なものは?」
と真剣に考えていました。
留学生が,
「ウズベキスタンの人々にとって大切なものは,水と綿とパンの3つです。
とても大事にしています」
と語りかけると,高校生たちは,息をひそめ,聞き入っていました。
その後,会場では,
「確かに日本は,物質は豊かですが,食料の約60%は,海外から輸入しています。
しかし,その中の3分の1は廃棄しているのが現状です」
「アフガニスタンをはじめ世界の国の多くの人々が,食料に困っています」
「日本人の誰もが,自分の食生活を見直したり,もっと大事にしなければ」
等,様々な意見がでました。
高校生たちにとって,平和の尊さと日本人にとって大切なものについて,
改めて考えさせられた留学生との有意義な交歓会でした。(H・H)