教育研究所
No.223愛犬との別れ(2007年08月29日)
今夏は梅雨明けが遅く,8月に入ってから急激な猛暑続きであった。
丁度,梅雨の頃から,わが家の愛犬「ゴロー」の具合が思わしくなく,動物病院の見立てでは肝臓を患っているとのことだった。
13年前,それまで飼っていた雑種犬が老衰のため亡くなってからは,生き物は飼うまいと決めていたが,血統書付きのシェルティを是非にという友人から譲り受けた。
成田(千葉県)生まれの犬で,佐倉宗吾の名に因んで「ゴロー」という。
シェルティには似つかぬ名であったが,馴染んでいった。
自分でエサを食べられるようになった時,連れてきてもらったので,部屋のゲージ内で飼ううちに,座敷犬となり家族の一員として過ごしてきた。
若い時は,ドアーを閉めるなと噛みつくし,くつや敷物にあらゆる悪戯をして困らせてくれた。
電気掃除機に異様に反応し,吸引の音が鳴りだすと,歯をむいて狂ったように立ち向かった。
どこへ行くのも一緒で,自動車の後部座席は専用席であった。
やがて引っ越し。
そこは,サルやイノシシがでる山の中であったが,住宅地を離れた自然の中で喜んで走り回っていた。
朝夕の散歩は家内と交代で,暑くても寒くても定刻になると出かけるものと決めこんでいた。
大人の怠惰を諌める役もしてくれて,生きる勇気を与えてくれた。
ところが,今年になってから急激に痩せだして,夜中に尿を催すと必ず家人を起こしては用をたしていた。
尿への頻度が激しくなったので,動物病院で診てもらうと、腎臓病が悪化しているという。
家族の一員でもあるので,できるだけの治療をしてやろうと,8月に入ってからは,約20Kmほど離れた病院で,点滴をしてもらい夕方引き取りに行くという毎日であった。
欲目からか回復しつつあるように思え,3日に1度連れてくるようにとのことだった。
明日は病院に行くという前日,懸命に病気と戦っていた「ゴロー」の様子がおかしくなり,嫌いだった電機掃除機のホースを枕に静かに息を引き取った。
具合が悪くても訴える術を知らない動物は,周囲が気をつけてやらなければいけない。
意思表示の苦手な子どもにも通じるものである。
生き物との別れは何とも悲しいものである。
人間も齢を重ね,散歩する自信も萎えてきている時,次なる犬を飼うのにためらう日々である。(Y・K)