教育研究所
No.216変化しつつある学校-その8-(2007年05月23日)
教育の質を問う高まりの中で,学校でも「授業の質」に関心が集まり,論議が活発になったように思う。大変喜ばしいことである。
ところで,「授業の質」が重要であることは言うまでもないが,その前段階として,すべての教師がクリアしなければならない共通の課題がある。
それは「分かる授業」の実践である。
昨今,団塊世代の大量退職に伴い,各都道府県では「優秀な教師」の採用に必死になっている。
過日,ある新聞にこのことに関連した記事が掲載されていた。
その折,知人から「優秀な教師とはどんな教師をいうのか。」と聞かれ,即座に,「分かる授業を実践できる教師が条件の一つだろう。」と答えたのである。
「分かる授業なんて教師たる者として実践できるのが当然である。」という方は,それぞれの教師の授業を観ていただきたい。
そして,授業に参加した子どもに,「授業の内容は分かりますか。」と聞いていただきたい。
子どもから「よく分かる。」,「授業が楽しい。」,「次の授業が楽しみだ。」というような声が返ってくるだろうか。
「教育改革のゴールは,授業の変革にある。」
数年前,そんな思いを胸に現役を退いたのであるが,いささかもその思いは変わっていない。
最近は,「授業力の向上」がいずれの学校においても重要な課題になっていることも事実である。
授業を通して子どもが「分かる(できる)ようになる」ためには,どこをどのように改善する必要があるのかを常に自ら問うことが,「授業力向上」へのスタートであろう。
各学校において,「授業の質」に関心が集まりつつある今日,「優秀な教師」の条件として「分かる授業」の実践を挙げたが,このような時にこそ,「質」を問うことに埋没し,抽象的な理論を展開するよりも,全校を挙げて「分かる授業」の実践と検証に取り組むことが必要なのではなかろうか。
また,そのことが,「授業の質」を高めることに密接につながるものと考えるのである。
ちなみに,「優秀な教師」の条件の他の一つとして,「子どもの心を理解しようと努める教師」を挙げたが,いかがなもであろうか。