教育研究所
No.212春の花と仲良くしよう(2007年03月28日)
今年は,暖かい冬が終わり,もう桜前線が3月18日ごろ関東地方にやってくるそう。
学校は,3月中ごろから4月中ごろの学校は,卒業式,終業式,進級,進学,入学式,始業式,先生方の異動とあわただしく過ぎていきます。
1年のうちで最も花の多い華やかな季節が,先生方の目にも児童・生徒の目にも触れることなく毎年過ぎていきます。
もったいないことですので,ここで一つの工夫を提案してみたいと思います。
先ず,学校の外で何が起こっているのかをお話しします。
3月中旬から4月中旬には,春先に咲く木と草の花が一斉に咲きます。
植物の花は1年間各季節ごとに少しずつ咲きますが,春先に咲く花が最も多いのです。
植物は,子孫を残すのに適切な気温になったことが分かると,一斉に花を咲かせて果実をつけ子孫を残そうとするのです。
木の花が咲く順序は,マンサク,コブシ,サンシュユ,ハクモクレン,レンギョウ,ソメイヨシノなどの順です。草の花が咲く順序は,ハコベ,ホトケノザ,ヒメオドリコソウ,オオイヌノフグリ,タンポポなどの順です。
次に,植物を見る意義ですが,この時期は理科や生活科,総合的な学習などは,終わっているか始まっていない状況かと思います。
この時期に植物の開花を見る意義は,1つは情操教育のためです。
青空に純白に咲くハクモクレンやコブシを空高く見ることから,子供たちの頭脳や心に,こんな清々しい美しい情景がすぐ身近にあるんだと気付かせ,暗い重々しいイメージではなく,明るく積極的なイメージを湧かせて新学期を生きていくエネルギーを獲得させることが目的です。
また,育つ過程にある柔軟な子供たちの心象の中にとびきり美しいシーンを定着させ,一生の財産にすることが目的です。
2つめの意義は,4月から始まる理科や生活科,総合的な学習などの先行的な体験をしておくことです。
1,2年生の春探しや秋探し,草花遊びや季節探し,3,4年生の草花の育ち方や温かさと植物の関係など,5年生の花のしくみや受粉の方法など,6年生の光合成の学習などのための先行的な経験をしておく意義は大きいと考えます。
では,子供たちにどのように木や草を見せるとよいのでしょうか。
先ず,見せる時期ですが,3月の終業式や卒業式の2,3日前に1時間とって校内や校外に出かけるとよいでしょう。
また,新学期の入学式や始業式が終わり,学級の座席や組織が決まった2,3日後がよいでしょう。
ゆっくり校内をめぐりながらコブシやハクモクレン,レンギョウ,ソメイヨシノなどを見せます。
名前が分からなければ特に教える必要はありません。
それでもはなびらは何枚あるだろう,おしべは何本あるだろうと問いかけて,花の上からや下から丁寧に見せて,それぞれの花の美しさや形の違いや似ているところを明らかにしていきます。
この時期は,特にメモを取らせる必要はありません。
それより,近くでよく見て触って匂いを嗅ぎ強い印象を感じさせることが大切です。
そうすれば,豊かな情操として定着し,しかもこれから学習する内容の基礎的な体験を獲得できます。
ハコベ,ホトケノザ,ヒメオドリコソウ,オオイヌノフグリなどの花についても同じです。
しゃがんで小さな草花を手に取り,やはり花の上からや下からよく見て,その美しさや形の違い共通なところを詳しく見せます。
小さい花については虫めがねで見せると,大きな鮮明な別の世界を見ることができます。
華やかな百花繚乱のこの時期を,是非子供たちに体験させ,豊かな情操と確かな知識の基礎を育ててください。