教育研究所
No.211川清掃(2007年03月14日)
東京の国立市にある我が家のそばを,矢川が流れている。
すぐ近くにある立川段丘崖下から湧き出る豊富な水は,湿原を作っている。
矢川は,そこを源としている。
我が家のすぐそばの広場では,その流れに親しむことができるよう川に向かって,階段が作られている。
さらに,この小さな川は近くの小学校の敷地を通り,甲州街道を横断して,府中用水の支流と合流する。
矢川という名は,流れが速くて,弓から離れた矢のような川であることからその名がついたらしい。
四季折々,矢川はいろいろな姿を見せてくれる。
今は冬。
春を待つ花菖蒲はもう芽を出している。
小鷺が一羽寂しそうに食べ物を探している。
春になると,晴れた日には光の春にふさわしく,日の光を受けて川面がきらきらと輝く。
初夏には,黄色い花菖蒲が咲きそろう。
秋には,川辺の木々の葉は色づき,その葉を川面に落とす。
四季を通して,特に休日などは,カメラや資料を片手に散策しているハイカーが多く見られる。
この川を中心として,町内会がある。
メンバーは,この土地に生まれ育ち,古くから生活されている方,新しく住まいを求めてこの地区の住民となった方等いろいろである。
それぞれが協力して,町内会の活動を行っている。
わたしもメンバーに加えて頂いて,二十数年が経った。
約2ヶ月に一度町内会の区域を流れる矢川の清掃を行っている。
約200m位であるが,男性は,ゴム長靴を履き川の中の水草を鎌で切っていく。
女性は川の縁の雑草を刈っていく。
最近では,お父さん,お母さんに連れられた小学生も参加するようになり,作業中,明るく甲高い声も聞こえる。
矢川にはまだザリガニや小さな蛇,蛙が住んでいて,掃除中に飛び出してくることもある。
小一時間の作業の後,矢川はさわやかに変身する。
この矢川清掃が,町内会の固い協力,まとまり,自信へとつながっていると思う。
地域の自然は,宝物である。
それを守り,育てるとき人は優しくなり,つながりを求めるのだろうか。
ボランティアとして進んでかかわった喜びにあふれているのだろうか。
集団でまとまって何かをやることが難しくなっている現在,我が町では,この矢川清掃が大きな絆になっているように思う。
そのせいか夏の盆まつり,秋のバスハイク,冬の餅つき大会への参加者,夏と冬の防犯パトロールにも協力者が多い。
今日も川は流れている。2階の窓から時々,矢川を眺めながら,心を落ち着かせ,明日への英気を養っている。