教育研究所
No.186変わりつつある学校―その4-(2006年02月08日)
学校は,危機に対して敏感になった。
昨今の子どもを取り巻く社会状況が,「安心・安全」という面から尋常ではないとの認識が学校に浸透してきたからであろう。
児童生徒の生命の安全は,最優先されなければならない事柄である。
保護者,地域社会,関係諸機関が連携して,子どもの安全確保のための取り組みが展開されている。
こうしたなかで,学校の危機意識や危機管理能力は高まりつつある。
ところで,今日,学校の教育力(学校力)の強化が求められているが,危機管理能力はそのなかの重要な要素である。
学校が危機に対して敏感になったことは,好ましいことであるが,危機管理ということからみると十分とはいえない面があると言わざるを得ない。
学校は,危機管理について理解を深め,危機意識を高めるとともに危機回避への力を組織として備えることが必要である。
まず,学校における危機管理は,学校教育において生じる事件や事故の防止,被害を最小限に食い止めるための予防的措置と生じた事件や事故に対する事後措置を含む経営行為であることを理解することが欠かせない。
次に,学校における危機は多種多様であることを知る必要がある。
施設・設備にかかわること,教職員に関することなど,子どもにかかわることだけでなく学校教育のすべてが危機に関連して存在していると理解すべきであろう。
危機の予防的措置においては,平素から問題を「たいしたことはない(にはならない)」→「たいへんなことになる」,「なんとかなる」→「なんともならない」,「よくあること」→「あってはならないこと」と捉えるよう努め,危機を予知するセンサー(感覚)を磨くことが不可欠である。
危機発生の事後措置においては,「人は,起こしたことで非難されるのではなく,起こしたことにどう対応したかによって非難される。」という言葉を肝に銘じ,迅速・適切・誠実に対応することが肝要である。
起きて(起こして)しまったことが事実である以上,いやしくも逃げ隠れや,嘘,ごまかしをせず誠意ある対応をすることが大切である。
高まりつつある学校の危機意識や危機管理能力をさらに向上させるためには,「治に居て,乱を忘れず」の心構えで,「悲観的に準備し,楽観的に対処する」という危機管理の鉄則に則った日常的な組織としての取り組みがポイントになると考える。